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【香港版国家安全法全文翻訳】香港国家安全維持法の全条を和訳【国家安全法とは】その②

第1条~第19条はこちらの記事

第三章 罪と罰

第一節 分裂国家罪

第20条

国家分裂や国家統一の破壊を目的とする以下の行為を組織、計画、実施したもの、およびそれらに参加したものは、武力の行使および武力による威嚇の有無に関わらず罪となる。
(1)香港または中国のその他の地域を中国から分離させること
(2)香港または中国のその他の地域の法的地位を違法に変更すること
(3)香港または中国のその他の地域を外国の支配に置くこと
これらの罪をおかしたものは、その主要な人物であるか、重大な行為を行った場合、10年以上の懲役、最高を終身刑とする。積極的な参加者は3年以上10年以下の懲役とする。

第21条

本法第20条に規程されている犯罪行為に係る金銭またはその他の財産支援、扇動、ほう助、教唆なども犯罪とみさなれる。重大な場合は5年以上10年未満の懲役、それほど重大でない場合でも5年未満の懲役とする。

第二節 国家転覆罪

第22条

政権転覆のために武力行使または武力行使の威嚇などその他違法な手段を使用した以下の行為を組織、計画、実施または参加は罪となる。。
(1)中国憲法によって確立された中国の根本的なシステムを打倒、破壊すること
(2)中国政府または香港政府を打倒すること
(3)中国政府または香港政府の法に基づいた業務に対する重大な干渉、妨害または破壊すること
(4)香港政府機関の施設への攻撃および破壊、その他正常な業務執行を妨害すること
これらの罪をおかした者は、主要な人物であるか、重大な行為を行った場合、10年以上の懲役、最高を終身刑とする。積極的な参加者は3年以上10年以下の懲役とする。

第23条

本法第22条に規程されている犯罪行為に係る金銭またはその他の財産支援、扇動、ほう助、教唆なども犯罪とみさなれる。重大な場合は5年以上10年未満の懲役、それほど重大でない場合でも5年未満の懲役とする。

第三節 テロ犯罪

第24条

中国政府、香港政府または国際機関の脅迫または政治主張の実現のために社会に深刻な危害を与えることまたはその意図を持ってテロ行為を組織、計画、実施または参加した場合は罪となる。
(1)市民に対する深刻な暴力
(2)爆発、放火または毒、放射能、感染症の病原体などを含む物質をばらまくこと
(3)車両、輸送施設、電力設備、ガス設備、またはその他の可燃性爆発物や設備の破壊
(4)水道、電気、水道、電気、ガス、輸送、通信、インターネットなどの公共サービスやその管理のための電子システムに深刻な干渉を行ったり破壊すること。
(5)その他の危険な手段により公衆衛生または安全を深刻な危険にさらすこと
これらの罪をおかして人を死傷させ、または公有および私有財産に多大な損害を与えた場合、無期懲役または10年以上の懲役とする。それ以下の場合は3年以上10年以下の懲役とする。

第25条

テロ組織を組織または主導する者は10年以上最高無期懲役とし、財産没収となる。積極的に参加した者は3年以上10年未満の懲役および罰金となる。その他の参加者は3年未満の懲役となり、罰金が科される場合もある。
本法におけるテロ組織とは、第24条に規定されるテロ犯罪を犯した、または犯そうとする組織、または第24条に規定されるテロ犯罪の実行に参加または支援する組織とする。

第26条

テロ組織、テロ組織の構成員、およびテロ活動の実施のための訓練、武器、情報、資金、資材、労働、輸送、技術または場所などの提供、支援、便宜を図り、または爆発物、毒、放射能、感染症の病原体などの物質を製造または不法所有などテロ活動の準備は罪となり、深刻な場合は5年以上10年未満の懲役となり、罰金または財産没収が科せられる。
この行為がその他の犯罪も構成する場合、より重い罪となる。

第27条

テロを助長したり、テロ活動を扇動したりする者は罪となり、状況が深刻な場合は5年以上10年未満の懲役となる。並びに罰金または財産没収とする。

第28条

本節の規定は、香港の法律による、刑事責任の訴追、財産の凍結およびテロ犯罪に対するその他の措置に影響を与えない。
第四節 外国又は外国勢力と結託して国家の安全を脅かす罪

第29条

外国または外国機関などの組織およびその職員向けに国家安全保障に関する国家機密または情報を盗み、スパイ行為を行い、それらの情報を購入または不法に提供すること。外国または外国機関などの組織およびその職員に実施を以来することや協力すること、命令や管理、資金提供などの形式で支援を受けて直接的または間接的に以下の行為を行うものは罪となる。
(1)中国に対する戦争、武力または武力による威嚇により中国の主権、統一、領土保全に深刻な危害を与えること
(2)香港政府または中国政府による法律や政策の策定と執行の深刻な妨害、および深刻な結果をもたらしうること
(3)香港での選挙の捜査や妨害、および深刻な結果を引き起こす可能性のあること
(4)香港または中国に対する制裁措置、封鎖措置またはその他の敵対的な行動
(5)様々な違法な方法により、中国政府または香港政府に対する市民の憎悪をもたらし、深刻な結果を招く可能性のあること

これらの罪を犯した者は3年以上10年以下の懲役となる。
本条第一項に関係する外国機関などの組織およびその職員は共同犯罪の判決により有罪となる。

第30条

本法第20条および第22条に規定されている犯罪を実施するために、外国または外国機関などの組織およびその職員と共謀するか、または外国または外国機関などの組織およびその職員からの命令を直接的または間接的に受ける、または他の方法によりで管理、資金提供、または支援を受けるものは、本法第20条および第22条の規定に従って、より厳しい罰を与えられるものとする。

第五節 その他の処罰規定

第31条

会社、団体等の法人等がこの法律に規定する犯罪を犯した場合、その法人等に罰金を科す。
法人または非法人組織が、この法律に規定された犯罪を犯したことにより刑事罰の対象となる場合、営業を停止するか、そのライセンスまたは事業ライセンスを取り消すよう命じられるものとする。

第32条

本法に規定された犯罪から得られた資金、収益、およびその他の違法な利益、ならびに犯罪のために使用または使う目的の資金およびツールは追跡され、没収される。

第33条

以下の状況では、犯罪を犯したもの、被疑者、または被告は、減刑される可能性がある。犯罪が軽い場合、罰は免除されることがある。
(1)犯罪の過程において、自発的に犯罪を放棄するか、自発的かつ効果的に犯罪を抑止した場合
(2)自首、自白した場合
(3)他人の犯罪行為の通報、証言、または他の事件を発見するための重要な手がかりを提供した場合
司法当局が罪の存在を認知していない場合に容疑者または被告人が自白をした場合は、第2項の規定により対応する。

第34条

香港に永住権を持たない者がこの法律に規定された犯罪を犯した場合、その者は独立してまたは追加の申請により強制追放されることがある。
本法に違反したもので香港に永住権を有していない場合で、何らかの理由で刑事責任を負わない場合でも、強制追放されることがある

第35条

裁判所により国家安全保障に反する罪で有罪判決を受けた者は、香港立法会、香港区議会の選挙への立候補、または香港の公職または行政長官選挙挙委員会の委員候補者としての資格を失う。中国の一部である香港の基本法を支持と中国の一部である香港に忠誠を誓った立法会議員、区議会議員、政府高官および公務員、裁判官およびその他の司法職員などは直ちに失職し、または再出馬や再雇用の資格を失う。
これらの資格や職位の喪失はそれぞれの管理機関から発表される。

第六節 効力範囲

第36条

本法は規定する犯罪を香港で犯した者に適用される。香港で犯罪行為または結果のいずれかが発生した場合、香港での犯罪と見なす。
また、本法は香港に登録された船舶、航空機で犯された本法に規定する犯罪にも適用される。

第37条

本法は、香港の永住者または居住者、または香港に設立された企業や組織など法人または非法人組織などに適用される。

第38条

本法は、香港に永住権を有していなくても、本法に規定される犯罪を犯した者に適用される。

第39条

本法の施行後の行為は本法により罰せられる。

今日も香港の状況は刻一刻と変わっています。そんな状況の深層を理解できるような基礎知識を得られる記事を目指しています。皆様からのサポートは執筆の励みになります。どうもありがとうございました