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6 香港ネーションのファンタジー:香港デモインタビュー 元立法会議員 梁頌恒 バッジオ (後編)

雨傘運動の後、バッジオは先にインタビューを掲載しているピーターと似たような経過を辿る。運動中に出会った友人に声をかけられて青年新政の結成メンバーとなり、当座の目標としていた区議会選にはまさか自分が出馬するとは想像していなかったが、「ピーターが出馬すると言ったのを見て」自身も出馬を決め、そして落選する。バッジオはその翌年の立法会選にも「誰もいないなら」と立候補する。議員になることについては個人的な目的や人生設計の中にあったわけではなく、「あくまで民主化運動をしていてその流れの中で」2度の選挙に臨むことになったと強調している。なお、2014年~2016年にかけての香港の政治事情については、前出のピーターのインタビューの中で詳しく書いているのでそちらをご覧いただきたい。

「民主派自体が少数派だったし、僕らは『香港民族』や『民族自決』というスローガンを使っていて、急進派だと思われていた。だから区議会選での敗北もあったし、立法会選も当選する可能性はとても低いと思っていた。香港の中でもいろんな見方をされていて、必ずしも好意的な見方ばかりじゃなかったからね。民主派にもいろいろな考えの人がいるんだけど、僕らは議論を投げかけたいと思ってあえて民族という言葉を使っていた部分もあるから。」

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