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「牧師夫人の徒然なるままに」(八三三)「なまけ者の欲望はその身を殺す。その手が働くことを拒むからだ」(箴21・25)

 いよいよ二〇二三年も今日で終わりです。激動の一年間でした。地球上のあちらこちらで紛争が絶えず、自然も文明の産物も破壊されてしまいました。また、AI技術が進み、人にとって代わって論文を書くという離れ業も可能になりました。ガラパゴスよりもさらに太古の生物だと自認している私にはあまりに受け入れがたい、住みにくい世になってきたと思わされます。

 わたしより、少し先輩の作家、佐藤愛子さんがその昔お書きになった随筆「楽天道」の中で、このように書いておられます。「何か便利なもの、快適なものに身をゆだねる時、私は『ああ、とうとう私も堕落した!』と思う。そう思いつつ、つい引きずられて文明の利器を利用してしまう。そしてまた思う。ああ、とうとう私もここまでまた堕落したのか!と。そのくりかえしだ。」

 人類は知らず知らずのうちに、文明の利器の使い方を制御できなくなりつつあります。最初は興味本位で手を出します。少し巧みに使えるようになるとのめりこみ始めます。やがて中毒症状が顕著になります。

 皆さん、自分の手を使って文字を書きましょうよ。あなたの個性が生かされた筆跡で書きましょうよ。手の働きを、頭の働きを止めることは身を殺しますよ。

安食道子

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