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牧師夫人の徒然なるままに(六五二) 「誘惑に負けないためには(その2)」

 「思い」を虜にする誘惑は、単に人の本能的な欲求(食欲、名誉欲、物欲、性欲等)を餌食にするだけではありません。「憎しみ、恨み、羨望等」の罪深い感情をも虜にします。
 もう、十数年以上も前のことになります。ある方から、とても厳しいお叱りと、拒否のお手紙をいただきました。私は到底「はい、その通りです」とは受け入れられず、その方への苦い思いが心の深くに根を張りました。その当時、その方のことを思い出すたびにいったい何度心の中でその方を殺してしまっていたことでしょうか。(イエス様は心の中の思いはすでに犯したことに等しいと言われました)その方のことを思うこと自体が、私をむしばみました。その時に、これこそが「誘惑」なのだと自覚しました。
 対処法はたったの一つです。その方のことをなるべく考えないように、思わないようにすることでした。もちろん私は「ごめんなさい」と謝りましたが本心からではありませんから、強烈な拒否にあいました。それはさらに苦い根を深くしました。
 何年も経過して、ふとしたきっかけでその方と再会しました。時の流れは根深かった恨みの心をすっかり沈めてくれていました。ほとんど意識に上らないほどになっていたことが良薬でした。 
安食道子

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