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メッセージ要約 2024.8.11 「アブラハムの偽装工作」

○創世記12章10節~20節「アブラハムの偽装工作」(安食弘幸牧師)

 大阪大学の松村教授は、仕掛学という学問を研究している。それは、人間がこう問題に直面した時に、人間自ら喜んでその問題を解決していく。人間が喜んでゴミを捨てたくなる様なゴミ箱を作る。そういう仕掛けを作ることだそうです。この話を聞いた時、「人間ってつくづく自分のしたいようにしかできないんだな。」と思いました。いいって分かっていても、言われるとしたくなくなる、反発する。でも、ちょっと嫌な面倒なことでも、それが面白いとか、楽しいって思えたら、人は進んでそれをやってしまう。要するに、自由意思を自分で使いたいように使っている時は、人は幸せなのです。神様が、アダムに自由意志を与えました。つまり神様に従うことも、神様に逆らうこともできる能力を与えた。これが自由意思です。これは、素晴らしい賜物です。それを神様の御心に従う時に使う時には、大きな祝福がやってきますが、神様の御心に反する使い方もできるわけです。「神様なんか認めない、神様の御言葉なんか聞くもんか!」こんな自由意志の使い方を、罪(=的外れ)と言います。

1.アブラハムの不信仰

 今日、私たちは、アブラムという人の人生を見ています。前回もそうでしたけども、彼の人生は神の御心に沿って歩み始めると アブラハム契約というものが自動的に発動し、彼と彼の人生と彼の子孫を祝福していくんです。今日の箇所には、彼が自分の自由意志を間違って使ってしまったために起こしたトラブルが書かれています。

 アブラムは、イスラエル南部のネゲブへ旅をつづけたが、そこで飢饉が起こったため、隣国のエジプトにしばらく滞在するために行きました。しかし、彼はエジプトで大きなトラブルに巻き込まれてしまいます。なぜ、そんなことが起こったのか。彼がここでエジプトに行くことは、神様の御心かどうかを尋ねなかったからです。自分の知恵で、その問題を解決しようとしたわけです。これまでは、新しい町に着くと必ず祭壇を築いて、主を礼拝していたのに、ネゲブではそれをしなかった。長旅の疲れで信仰がダウンしていたのかもしれません。しかし、信仰の危機は、小さな不信仰、小さな怠惰が重なっていくことで起こるのです。彼は、この危機的な状況を、自分の知恵で解決しようとしました。彼はエジプトへ「しばらく滞在するため(10節)」でずっといるわけじゃないからいいか・・・。と簡単に考えました。しかし、エジプトに近づいた時に、彼の心に大きな恐れがやってきたのです。当時、エジプトでは、他人の奥さんを気を入ったら略奪してもよかった。そういう噂を聞いて、彼は不安になったのです。それは、主の御心の中を歩んでいるという確信がなかったからです。

2.アブラムの策略

 この時、アブラムの妻のサライは65歳。でも、年齢よりもずっと若くそして美しかった。だから、アブラムは心配になったのです。それで、ある策略を巡らします。アブラムは、サライに「私の妹だと言ってほしい。そうすれば、あなたのゆえに事がうまく運び、あなたのおかげで私は生き延びられるだろう。(13節)」と言います。花嫁に父がいない場合は、兄が代理で婚約を決める習慣になっていたからです。しかし、神様を信じるアブラハムとしては、これは絶対にしてはいけないことであり、2つの点で問題がありました。1つ目の問題は、サライが妹だというのは、嘘だからです。アブラムとサライは、異母兄妹なので、完全な嘘ではありませんが、妻としての立場の方が強い。2つ目の問題は、この判断が、アブラムの不信仰から出たということです。そのため、事態は、アブラハムの想定を超えて起こってしまいます。アブラムに相談なしに、サライは、エジプト王ファラオ高官により、ハーレムに連れて行かれてしまったのです。さらに、アブラムはその見返りとして、「羊の群れ、牛の群れ、ろば、それに男奴隷と女奴隷、雌ろば、らくだを所有するようになった(16節)」のです。しかし、家畜が増えたことにより、同じ家畜を飼っている甥のロトと餌場の関係で、一緒に行動が出来なくなってしまった。また、この時もらった女奴隷の中に、後のアラブ人の租であるイシュマエルの母となるハガルがいたのです。現在の中東におけるアラブとイスラエルの問題の火種の原因はここにあり、アブラハムの不信仰が原因でした。

3.神の介入

 しかし、神様は黙って見ている方ではありませんでした。強制的にこの出来事に介入します。「主はアブラムの妻サライのことで、ファラオとその宮廷を大きなわざわいで打たれた。(17節)」ユダヤ人の伝承によれば、この時エジプト王ファラオが、全身に重たい皮膚病に突然覆われ、ファラオ夢に神様が現れ、「お前が召し入れたあの女は、あのユダヤ人アブラムの妻である。彼に手を出すと、この王宮に、エジプトにもっとひどいことが起こるぞ!」と脅されたのです。このことにより、ファラオは、アブラムに「さあ今、あなたの妻を連れて、立ち去るがよい。(19節)」と言います。このエジプトでの試練は、アブラハムの不信仰が原因でした。時には、私たちの不信仰が生み出すトラブルや試練があるかもしれない。しかし、神様は、その試練を通して神様私たちを潰すのではなくて、育てたいと願っていらっしゃる。どんな状況にあっても、神様を信頼するという姿勢を絶対に失ってはならないことを、この箇所は教えてくれています。続いて、神様に信頼していきましょう。(T・H)

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