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牧師夫人の徒然なるままに(七〇六)   「あなたのさばきは高くて」(詩10・5)

 梅雨明け前の集中豪雨は、毎年経験していますが、分厚い雨雲の遥か上空には、太陽がいつもと変わらずに照り輝いていることを忘れてはいけません。恐ろしい勢いで空を駆け巡る黒雲も、やがて途切れて太陽が姿を現すと予測できるからこそ耐えられるのです。
 表題に挙げた詩篇は、悪者が思うままに敵を打ち負かして、栄える姿を歌っています。「神はいない」という思いのもとで、この悪者は豪語します。「私はゆるぐことがなく、代々にわたって、わざわいに会わない」
 そんな悪者に詩編の作者はさらりと言いきります。「あなたのさばきは高くて、彼の目に、入らない」と。神の裁きは確かにあるけれども、悪者がそれを目にするにはあまりにも高いところに目を向けなければなりません。残念ながら低空の繁栄にのみ心を奪われている彼には見えないのです。ご利益宗教家が勧めるのはこのレベルの繁栄です。
 私たちの主、創造主なる神は、この世での繁栄を真っ向から否定される方ではありません。現にヨブにも苦難の後には素晴らしい繁栄を与えました。
 ただ、忘れてはならないのは、この世は旅の一行程に過ぎないことです。高いところを見上げる目には、この世での繁栄は束の間の休息に過ぎず、真の繁栄は御国の門をくぐってから味わえるものだからです。

安食道子

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