「牧師夫人の徒然なるままに」(八〇三)「限度を超えた思い上がり」(ローマ12・3)

  ある幼い兄弟のお話です。久しぶりに祖父がショッピングセンターに連れて行って言いました。「好きなものを買ってあげるから、欲しいものを言ってごらん」
 兄は大好きなおもちゃをつかんで「これがいい!」とすぐに決断しました。ついで弟があれこれと見回ったあげく「僕はこれにする」とようやく決断できました。すると兄は弟が選んだおもちゃを見て「だめだよ。違うのにしなよ」とお節介なことをいうのです。どうやら、彼は自分のおもちゃの値段と弟のそれを見比べて、弟の方が高価だったことが不満だったのです。
「嫌だ、僕はこれがいい」と主張する弟に、巧みに兄は言いより、自分であれこれと安価な品を捜し出して、弟に差し出します。それでも弟を説得できないとわかると、彼は次の手段に出ました。 「パパに聞いてみようよ。パパが良いって言ったらそれでいいけれど、だめだって言ったら、止めよう」というわけで、その場でパパに電話をしました。
 「何だって!おもちゃはもうダメだよ。おじいちゃんに代わって」代わった祖父に「お父さん、高い物は与えないでくれる。ガチャガチャでいいからね」
 兄の弟支配は残念な結末を迎えた訳です。でも、パパに相談しようと提案したのは兄自身ですから、そもそも墓穴を掘ったわけです。身近にあった話でした。

安食道子

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?