牧師夫人の徒然なるままに(六七七)安食道子 「何気なく放った弓が」    (Ⅰ列王22・34)

 人生には意識しない行為が、神の御意図に叶って用いられる場面が多々あります。表題に挙げた場面でもアラム軍の一人の兵士が何気なく放った弓矢がイスラエルのアハブ王を射抜いたのです。悪名高いアハブ王は、この無名の敵兵によって死を迎えます。アラム軍から身を守ろうとして、ユダの王に自分の服を着せるなど、あくどい策略を練ったにも関わらず、神の御心は無名の兵士の無意識の矢によって遂行されました。
 先日、夫は十三階の我が家から、用があって十階に出向く予定でした。ところが何気なく手慣れた一階のボタンを押してしまいエレベーターは下って行ってしまいました。慌てて十階を押しなおしたのですがすでに時遅しでした。あきらめて一旦一階まで行ってから戻ろうと決めたそうです。ところが七階で、突然エレベーターが止まり、扉があくと、裸足のご老人が体をゆすりながら「助けてください!妻が倒れてしまいました!」と訴えていたそうです。夫は慌ててエレベーターを降り、その方のご自宅に入り、倒れた奥さんのために救急車を呼びました。
 何気なく押してしまった一階のボタンが七階の老夫婦の手助けをするきっかけになりました。偶然という言葉を持たない私たちクリスチャンにとって、これこそが御手の跡を見せていただける機会でした。

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