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「牧師夫人の徒然なるままに(六六七) 「他人の秘密をもらすな」(箴言25・9)

 「これは秘密のことだけど」という前置きがあってから語られる言葉には要注意です。私はこれまで何度もそのことで失敗をしてきているので、この世から、秘密という言葉が無くなればいいとまで思ってしまいます。
 そもそも「秘密」が守られない原因は何なのでしょうか。私なりの分析をした結果、やはり行き着くところは「自己中心」でした。
 秘密の中にはばらしてしまったことが当事者に悟られないようにふるまってほしいという強い要求が含まれます。例えばBさんが、共通の友人であるAさんから打ち明けられたという秘密を私に語ったとします。Bさんは常套句「これは秘密だけど」と言って私に語ってくれますが、それを聞いた私の心の中には嫉妬に似た気持ちが起きます。「私の方がAさんとは親しいはずなのに、なんでBさんが知っていて私が知らないの」と。この「わたしの方が」という気持ちが、ついつい秘密を暴露してしまう動機になるのです。Aさんに会った時に「あなたとこんなに親しい私が知らないとでもいうの」という態度で接してしまいかねないのです。
 この、なんでも自分が相手にとって一番の存在だという思い込みは高慢であり危険です。自分はいったい何様のつもりなのか、常に自問自答が必要です。
安食道子

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