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牧師夫人の徒然なるままに(六五五) 「今あるままで」

 私はこの四十年以上育んでいただいた信仰が与えてくれた確信によって、今も支えられています。それは「わたしの人生に決して偶然はない」という一事です。
 ここ十数年間の社会の目まぐるしい変化に、六十代の私は一時戸惑いました。瞬く間に地球上を張り巡らしてしまった電波は、もはやどこに行っても逃れようはありません。その感度も高度なものになり、地球の裏側に住む人ともクリアーな音声で通信が可能になりました。ありがたいことではありますが、同時に、墨と筆で、したためた手紙を一月以上かけて船便で、送ったのどかな時代が懐かしくもあります。
 時の流れに即応できる老人もいらっしゃいます。そんな方々はいつも若々しく向学心に燃えておられます。残念ながら、私はその類ではないようです。相変わらずペンと紙に頼って生活しています。本は書き込みのできる紙製です。手垢で染まったページには大切な思い出が積み上げられています。そして、今あるままのこの状況で、私は十分に満足し感謝しています。
 買い物をして、ペイペイできなくても、オンラインでの集会に参加できなくても、それをしている人たちを応援こそしますが、羨望はしません。私は今あるままで、十分に満足で穏やかに過ごしています。そしてこれは私に与えられている幸いな必然と思います。

安食道子

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