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投資家が体験した昭和の優しさと多様性【結局、心が運を呼ぶ(2)】

数億円を動かす株式投資家・渡邉健司さんにインタビューを行いました。温かい人柄の彼の人生から学ぶことはたくさんあります。お金のことだけ見ていてもお金は稼げない。ただ夢を追うだけでは夢は叶わない。結局、心が運を呼ぶのです。

<4>『義理チョコでええから欲しいんやけど』

渡邉少年は5歳のときに引っ越しましたが、そのまま引っ越し前の学区の小学校に越境通学という形で通っていました。小学4年生になる際に、本来行くべき近所の小学校に転校します。

4年生はクラス替えがなく、3年生からの持ち上がり。人間関係がすでに定まっているコミュニティに入ることとなった少年は、最初は転校生として注目されます。

「みんなが俺のこと見てるけど…、ちょっと嬉しい。うん、転校もええもんやね。」

前の席の子が何度も振り返ってこちらを見る。「転校生、どんな子やろ?」とささやく声が聞こえる。
本来ならば委縮したり居心地の悪さを感じそうなものですが、持ち前の朗らかな性格を生かしてすぐにクラスの仲間と打ち解けました。

「Tくん、石切さんにお参り行こうや。」

「そうしよ! 5年生でも同じクラスになれますように、ってお願いしよ。」

新しい環境の中で、Tくんという1番の親友ができました。二人は東大阪市にある有名な石切劔箭(いしきりつるぎや)神社に足を運び、次も同じクラスになれるよう神頼みまでするほどの仲の良さ。

全部で5クラスなので確率としては20パーセント。しかしお参りの効果が出たのか、5年、6年と同じクラスになることができました。二人は日頃からこの神社でよく遊び、露店のフランクフルトを食べたりなどしていたのだとか。
きっと神様も小さな友情を見守り、応援したいと考えたのでしょう。

そんな中、5年生の冬休み。Tくんともう1人の友人・Kくん、さらに同級生の女子3人とで近鉄奈良線に乗り、担任の先生の家に遊びに行きました。

教室にいるときとはまた違った、先生のリラックスした表情。いつも以上に高揚した友人たちの声色。年末の雰囲気も相まって、ドキドキ、ソワソワするような、楽しくて嬉しくて仕方ないこの気持ち…。
口いっぱいに甘さが広がる熱々のぜんざいに舌鼓を打ち、みんな笑みが溢れっぱなしでした。会話も弾み、教室ではしないような話も飛び出しました。

「みんな、好きな子いるの?」

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