【裁判や将棋】状況打開義務はどちらにあるか

相手は現状維持で逃げ切りたい、このままでいいと思っているところに、こちらから改善交渉を持ちかける場合、現状打開義務はこちらにある。

勝利条件=相手にさせたいこと を箇条書きで設定する。

対して、こちらが使える交渉カードを同じく箇条書きにする。

勝利条件に対して最大限威力を発揮する交渉カードを組み合わせておく。また時系列で出す順序を決める。

何もしなければ相手は動かない。ゆえにこちらから交渉カードを開示していく必要がある。だがフルオープンではなく示唆、ちらつかせるところがスタートとなる。証拠を持っていないと思わせて相手にウソをつかせてから実は持っている証拠を突きつけることで優位に立つ。逆にさも持っていると思わせて相手の自爆を誘う。

証拠の開示や相手の自爆を誘うのはタイマン時が良いのか、第三者立会いの時が良いのかも計算して話題を選定する。

コチラが使う交渉カードを出しながら相手の反応をうかがい、小分けに小出しにしていく。交渉事は「生き物」なので事前にすべての正解がわかるものではない。ゆえに要求ポイントと交渉カードを整理し、順序を考え、相手の反応によっては順序を変えて出すという駆け引きが必要になる。

ひどい事例だが、人質の使い方は「生きている」「死んでいる」の2択であってはならない。「細かく分割して使う(ブラックユーモア的表現だが・・・)」ことでより段階的なきめ細やかな交渉が可能になる。

交渉カードの内よりクリティカルなモノ、かつ自分も少なからず被害を受けるようなものは切り札となる。現実世界でいえば核兵器のようなものだ。これらの切り札は使う事よりも、むしろ
ちらつかせることが最良な使い方である。

緩めるのは簡単であとでもできるので、最初に要求する点は高く最大限で設定する。ただし根拠のない設定を行うと特に第三者からの信用を失うので、あくまでも持っている証左証拠に基づく最大値でおさえる。

相手が素直に動く場合に譲歩する余地を残すことで相手の行動を動機付ける。本来的対している相手でもこういう押し引きができなければ、結局相互の利得が小さくなることはあるので、緩める余地は考えといた方がいい。

矛盾するようだが譲歩は簡単に行えるがゆえに簡単に行うべきではない。明確に相手がこちらの要求に応じた場合の「ご褒美」として、あるいはきわどい交渉の交渉材料としての譲歩でなければならない。狙いのない譲歩は単なる己の愚かさの証明に過ぎない。

交渉における状況打開義務は将棋の千日手を避けるための先手の状況打開義務と酷似している。不利を承知で打開するか、現状を甘受して流すかと言う見極めも必要なことが多い。

なんだか去年末あたりからリアルで交渉事ばかり続いているので、自分なりに手順が洗練されてきたようだ(苦笑)。

将棋でも千日手打開の義務というか動機は先手側にある場合が多い。千日手が成立して指し直しになると先後入れ替わりの指し直しとなるわけだから。

CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。