ルールの役割

私のライフワークである「監査」でも、私の生涯の趣味である「将棋」でも。

「事実を事実として的確に把握すること」は主要命題となる。

人が状況判断を誤るときというのは、大体にしてパターンがある。今は副業としてこのあたりのコンテンツを書き起こしているんだが、「日記で下書きをしてしまおう」というハラである(笑)。

●以前にも書いたことの簡単な復習
「感情」が絡むと人はしばしば状況判断を誤る。好きなものは事実を無視してでも高評化をする。多少の都合の悪い事実は無視される。「恋は盲目」「あばたもえくぼ」というやつだ。反対に嫌いなものについては、事実を無視して低評価を下す。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」というところか。

「勘定」が絡んだ時も人は判断を誤る。

たとえば自国の利益として領土を分捕ることしか頭になければ、自国にとって都合が悪い事実はすべて捏造、自国にとって都合の良い事実のみを盲信する。いわゆる「確信犯」になると「自国の利益のためになら「証拠」すらねつ造する。

あなたと相手、どちらが公正中立により近いのか? それは第三者に明示、納得させうる「事実証拠の質量」で決まる。盲目的な場合、示す証拠は本人の妄想によるものだったり、明らかに他より優先順位の低い、些末な事実の一部の切り取りであることが多い。

正しい状況判断ができず、盲目的に自分の利益のみを主張してくる相手は言葉が通じず厄介? いやいや、むしろくみしやすい相手だ。彼らは自分に都合の良いことしか見えず、自分に都合の悪いことは見えていないのだから、当然「最善手」を指せない。論理が通じない相手は第三者を交えた公開討論でつぶせばいい。事実を淡々と指摘し、相手の矛盾や捏造を指摘すれば事足りる。事実や真実を追求する者は何も恐れる必要はないのだ。

言葉や論理が通じ合ない手を論破するのは不可能だ。その場合、第三者をいかに多く取り込めるかがカギとなる。


●本題「監査ベース」
ミスがあった時に見る指標である3原則を7原則にパワーアップしてみた。

旧来の3原則
 1 ルールの存在性 ⇒ルールがなければ作る
 2 ルールの適切性 ⇒適切でなければルールを直す
 3 ルールの順守性 ⇒守れてなければルールを守らせる

この3原則だと大半が3番目のルールの順守性に収まってしまうことが多い。ルールが存在し、適正であっても守れないことによるミスが圧倒的多数となっている。


新規の7原則
 1 ルールの存在性 ⇒ルールがなければ作る(ルール未整備)
 2 ルールの適切性 ⇒適切でなければルールを直す
  2-A ルール不備 ルールの抜け漏れがあった場合(ルール不完全) 
   ⇒ 抜け漏れを補足する 
  2-B 非現実的  ルールが守れないレベルの場合(絵に描いた餅・非現実的ルール) 
   ⇒ 適切なレベルに是正する
 3 ルールの順守性 守れてなければルールを守らせる
  3-A 教育不備 ルールを教えていない、教わっていない(ルール非公開・未習得) 
   ⇒ ルール覚えるまで教える
  3-B 守ったつもり ルールを守ったつもりだがミス(勘違い)   
   ⇒ 正しいルールを覚えさせる
  3-C ルール忘れ ルールをすぽっと忘れた(ウッカリ)
   ⇒ ルールを忘れると次の手順に進めない仕組みをつくる、気づける仕組みを作る
  3-D ルール無視  知ったうえでルール無視(いわゆる確信犯) 
   ⇒ ルールを守る意義を教える。必要があれば懲罰

階層としては3階層であることに変わりはないが、第2階層を2分割、第3階層を4分割にしてボリューム感をそろえてみた。

ルールというのは「最強の手段の1つ」「ルーチン簡易判断装置」だが目的ではない。ルールに固執するあまり目的を見失うことを「手段の目的化」「本末転倒」という。ある種のお役所仕事や官僚主義にも通じる。ルール自体は融通が利かないので(当たり前だ。明文化された「文章」が情状酌量できるわけがない)そういった部分を目的に沿う形で補うのが人間(ゲームマスターとか裁判官)の役目である。

逆にいえば、それが満足にできないゲームマスターや裁判官は能力不十分だといわれることだろう。

何の根拠もないことを信じる心理というのは「信じると得かどうか」に由来するとみています。自己決定や判断をし続けるというのは実は結構しんどいことが多いものです(将棋を指す人ならば分りますよねw?)。

自己決定には責任が伴うからです。そこで宗教や占いという「決めてくれること」に流れてしまうのも人の弱さなのでしょう。自分の思考を放棄してまで「ラクして生きていきたい」とは私は到底思いませんがね。

もうその思考を放棄した時点で「私が私である意味がない」というか「私が私ではなくなってしまいます」から。

自分で考え、決定し、責任を背負う、その覚悟を繰り返すのが人生の醍醐味だと思って40余年生きてきました。

CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。