新宿の殺し屋

かつて強すぎてアマチュアでは相手がいなくなってしまった真剣師がいた。そのあまりの強さに「新宿の殺し屋」と呼ばれた、小池重明(ジュウメイ)という人物である。

いつものようにウィキペディアで分かることは省略して記事を書きます。ただ、今回に関しては私の駄文より、ウィキペディアを読んだ方がよほどおもしろいと思う。ちょっと「小池重明」で調べてみてください。本当に破天荒でおもしろい人物です。

・・・強すぎて相手がいなくなってしまったという話はどこかの格闘ゲームのボクサーと設定だけは良く似ているw。ハチワンダイバーで脚光を浴びた「真剣師」(かけ将棋で生計を立てる人)という職業。縁は異なものとはよく言ったもので、実在した伝説の真剣師である小池さんとうちの父母は知り合いだということは以前から知っていた。「これはネタになる!」と思った私が父にインタビューをして、ここに記している。子供たちと一緒に本気で花火を楽しむ「子供のようなところ」がある人物だったそうだ。

当時、西日暮里に会った将棋道場で知り合いになり、将棋を教わったらしい。父は今の私と同じくらいの年齢で棋力も初段か二段。母は妹と同じくらいの3級前後。父の話では小池氏相手に2枚落ちは勝ち、飛車落ちでは勝てなかったそうだ。

この記事を書くにあたり、改めて調べたのだが、この小池氏、すごすぎる。A級棋士相手に平手で勝利してる時点でハチワンの二コ神さんよりも強いことが分かる。

ファンタジーに例えるなら素手でドラゴンを殴り倒すくらいに乱暴な事実である。<「素手は魔法の武器じゃないんだぞ!」「わがメンズナックルは竜の鱗をも打ち砕く!」とかいう会話を勝手に夢想。すごすぎる。唖然とする。>

小池氏の強さを知れば知るほど、父の2枚落ちは接待で勝たせてくれたように思われる。(父には悪いがw)単純に当時の父と私が同等として、A級棋士相手の2枚落ちなら一万回やって一万回負ける自信がある!(自分の負けを自信を持って断言するのもなんだがw)

私だと負け続けながらも、相手の性格や思考を分析して、なんとか隙を突こうとするくらいだろう。小池氏は私と正反対、対戦相手の研究をするどころか自宅に将棋盤すら持っていなかったらしい。破天荒と言うか、むちゃくちゃである。真似したいとは思わないが、そこにしびれる、憧れるw。

さて、いつものように思考の掘り下げをしてしめる。棋譜がネット上にたくさん残っているのでいくつか並べてみたのだが、ウィキの言う通り「一見むちゃくちゃ」に見える。誘いの隙というよりは、本当に大きな隙があると見える。ところが「隙アリ!」と見てそこに仕掛けた相手の攻めを「受けて」「凌ぎ」「切らせて」「潰す」感じだ。見事な起承転結である。それを名だたる実力者相手に仕掛けて成功させている。攻められているタイミングで自分から大ゴマ交換の選択肢を相手に提示するなど、「タフな交渉人」を見ているような気分だ。フトコロの深さを感じた。

棋譜と言うのはその時々の指し手の思考の痕跡なのだが、それを読み取るには読み取る側にも棋力が要求される。私程度の棋力では到底(おそらく一生かかっても)理解できない領域だろうということだけはかろうじて理解できた。・・・御存命であれば思考プロセスを聞いてみたかったなぁ。

CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。