「騒いでる方々の学問が不自由」

■日本学術会議、任命拒否された4人の学者が会見 「違憲・違法」と批判
(しらべぇ - 10月24日 10:01)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=202&from=diary&id=6280314

引用は>のあとで ⇒の後で私見
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>■戦前の苦い教訓を踏まえ
小澤氏は戦前の憲法には学問の自由の規定がなく、教授の人事などについてだけ一定の自治が慣行として認められていたことを例示。しかし軍国主義化の動きの中で、慣行上認められてきた大学の自治も掘り崩され、治安維持法事件や天皇機関説事件など思想弾圧も相次いだ。
「その中で科学も政治に従属して戦争遂行に動員され、日本はアジア・太平洋戦争へと突入し、敗戦を迎えることになります」と述べた。
戦後制定された日本国憲法は、こうした戦前の苦い教訓を踏まえ、思想・良心の自由、信教の自由、表現の自由に加えて23条で明治憲法にはなかった学問の自由を明確に保障することになったと解説。
日本学術会議については、「この学問の自由の保障を受けて、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学会と提携して学術の進歩に寄与することを使命として設立された」とその意義を強調した。

⇒特に異論はないですね。ここに書かれていることはおおむねその通りだと同意できます。学問の自由はとても大切です。

>■岡田教授「3つの点から違憲・違法」
行政法が専門の岡田氏は3つの理由から、今回の任命拒否が違憲・違法と述べた。一つ目は、任命拒否は学術会議の独立性を否定するものだという点。
「学術に対して政治権力が距離を保つべきことを学術会議の組織的な独立性として学術会議法は定めています。

⇒学術会議法第何条のことなのでしょうか???

>会員の適否を政治権力が決められるということになれば、学術会議の独立性は破壊されてしまいます」と学問の自由の制度的枠組みを破壊することになるため、憲法23条違反だと述べた。

⇒「任命拒否=学術会議の独立性の破壊」はまだしも「学術会議の独立性の破壊=学問の自由の制度的枠組みの破壊」というのが全く意味不明です。なぜなら学術会議に入らずともいくらでも学問はできるからです。それとも私が知らないだけで政治権力が「学術会議に入らない者は自由に学問を行ってはならない」とでも発表してましたでしょうか???

>第2の理由は、学術会議法7条と17条に違反している点。国民が学術会議法を通じて会員の選定罷免権を委ねているのは学術会議という組織体であって、総理大臣ではないと指摘した。

⇒そもそも「国民」「選定罷免権」という単語が7条にも17条にも一切見当たりません。関連記述としては
7条2「会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。」 
17条「日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。」
の部分でしょうが、ここから「国民が ~ 総理大臣ではない」という主張をひっぱり出すのは無理があります。自然に素直に読むなら「学術会議が内閣総理大臣に推薦した人間を任命してもらう」というだけでしょう。いかに「行政法を専門としている岡田教授」よりも私の読み取り方のほうがはるかに自然で素直だと思いますが。

>第3の理由は、今回の任命拒否は手続き上も違法だという点。岡田氏は「菅総理大臣は今回の任命決定に当たって、学術会議から提出された名簿を見ていないと明言しました。今回の任命拒否は学術会議からの推薦リストに基づかない判断であったということになります」と述べ、これは学術会議法7条2項の規定に明らかに違反する行為だと指弾した。

⇒ここは素直に自然に読むとおっしゃる通りかもしれません。ただ「推薦に基づいて」というのは「推薦そのままに」という意味ではないとはご指摘できます。基づいての辞書的な意味は以下の通りです。

●基づいて:原因や発端、根拠などがそこにあるさま。それを拠り所としているさま。「経験に基づいて行動する」などのように用いる。

「基づいて」は「そのまんま」ではないのです。

>■松宮教授「自民は犯罪を犯している」
刑法が専門の松宮氏は今回の任命拒否で犯罪行為が行われていることを告発。代表的なのは自由民主党の国会議員による学術会議が中国と軍事研究を共同しているというデマをTwitterで述べたことだと指摘した。

⇒おっしゃる通り「デマ」はよろしくないです。それで自由民主党の当該議員を何の犯罪行為で告発するのでしょうか? またこれに限らずより影響の大きいデマを発しているほかの議員や新聞社も告発していただきたいものです。

>松宮氏は「これは明らかに犯罪。それから内閣総理大臣が任命する根拠となる学術会議の推薦名簿、105名のうちから6名を黒く塗りつぶした書面が見つかっています。このように公文書を勝手に塗りつぶすのは、公文書を破壊する罪に当たります」と述べ、次の国会で糾明されることに期待をにじませた。

⇒学術会議の推薦名簿は「公文書」にあたるのでしょうか?学術会議メンバーは特別国家公務員となりますが。

●公文書の定義:行政機関の職員が職務上(じょう)作成し、又は取得した文書(図画及び電磁的記録を含む。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの
●行政機関の定義:行政機関(ぎょうせいきかん)とは、行政権の行使にたずさわる、国や地方公共団体の機関をいう。立法機関(立法府)、司法機関(裁判所)と対比される。

ですから。仮に公文書だとしてその塗りつぶし自体が罪になるのではなく、毀損することで元データが著しく再生困難になるなど業務に支障をきたすことが要求されると思われます(ここは私も根拠条文を探し切れていないので主張の弱いポイントですが)

>■芦名教授「最大の問題は軍事研究」
宗教思想が専門の芦名氏は今回の問題は学術会議のあり方を問題視されたと述べ、「最大の問題はやはり軍事研究を巡っていた」と自身の考えを語った。
「軍事研究を巡って、政府は大学における軍事研究を推進したい。それに対して反対をした、明確に反対を声明として出した日本学術会議、それが非常に問題であったというのが非常に大きな争点だったろうと思います」と述べた。

⇒それは政府の説明を聞いてから判断をすべきでしょう。

それよりなにより「学問の自由の問題」とは政治権力が意に沿わない学者を「逮捕・拘留・投獄・拷問・拉致・監禁」するレベルだと思いますがね。たかだか学術会議に任命されるかされないかで学問の自由にかかわるというのはどうにも無理があると思います。

CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。