2年前の闇営業事件にみる「組織との戦い方」

宮迫博之&田村亮、2時間半の会見後に再び登場 今後の問い合わせ先「何も決まってない」【会見8】
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元CIA(公認内部監査人)という仕事柄、組織における不祥事の予防や内部告発、リスクへの対処という事例は多々見てきた。

発端は闇営業、反社会組織、ノーギャラのウソ(個人の自己保身)という「組織に属している個人側(宮迫氏&田村氏他)の不手際だったわけだが。

その後、組織(吉本興業)が組織防衛のために個人を切り捨てる動きを見せ、おそらくその中で個人に圧力をかけた。それに個人が反発した…という流れに見える。

個人が組織と戦う場合、昔ほどではないがやはり不利である。今回も、もともと個人側の不手際があり、また組織側が「契約をしている」という優位な状態から事態は開始されている。

たとえば入江氏の解雇時点では組織側と個人側の利害は一致していて、入江氏の解雇だけで事態を収束することを勝利条件としていたのだろう。

ただ、その後新たな証人や証言、写真や証拠が出てきて組織としては「個人を守り切れない。守ろうとすると組織に深刻なダメージが入る」と判断し、個人を切り捨てる方向に切り替えた(勝利条件の後退)。結果的にここで組織側と個人側で利害の不一致が発生。

組織側は個人側に泥をかぶらせて組織ダメージを最小限にとどめようとしたことで個人側が反発して今回の謝罪会見に至ったと見える。

組織と対決する場合、情報量や資本力、コネクション等で圧倒的に不利で脆弱な個人が意識すべき点は「第三者を味方につける説得力があること」だ。こういう社会戦は基本的に格闘技の殴り合い、タイマンではなくてフィギュアスケートのように第三者への訴求力の勝負となる。その場合、最も武器となるのは「証拠」だろう。たとえば吉本興業社長の「プレッシャーをかける発言」を録音しているかどうかがキモとなる。

こういった情報を入手するチャンスはそう多くない、個人としては明確に敵対の意思を示すタイミングの前に情報を入手する必要がある。明確に敵対すると相手は警戒して情報を出してくれなくなるものだ。私自身、4回の裁判や調停を行ってきたが、大体は最初から敵対しているということではなく、悲しいことにもともとは身内や味方だった相手との戦いであった。そして宣戦布告を内心決めたとしても、即座にその意思を表明するのではなく、味方の立場で交渉する中でメールや録音、写真などの証拠を集めておくのが全てにおいて勝因だった。

というわけで(?)引き続き事態を観察していきたいと思う。

CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。