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創造性心理学の創造性とは?

「創造性」と聞くと、何か凄い独創的なことをやらなければいけないのではないか、と思われるかもしれませんが、創造性心理学の創造性とは、もう少し広い範囲のことを言います。それを今回は述べたいと思います。

創造性心理学にご興味ある方は、過去記事の基本的な説明をよかったらご覧ください(創造性心理学は空対理論の入門編です)。

創造性心理学の創造性のスタートは、まず概念を外すということからになります。私たちは、社会の常識に基づいて生きており、通常は、その常識は大多数にはプラスに働くのですが、一部の人には、それがマイナスに働くことがあります。また、社会適応できている人でも、ある特定の常識に対しては抵抗感がある場合もあるかもしれません。

この常識は、人間の思考する概念から形成されています。ですから、既成概念に囚われて生き辛い場合、概念を外すことからがスタートとなります。

創造性心理学のカウンセラーは、まず、その人の概念を外すお手伝いをします。

例えば、よい大学に入り、よい企業に就職するのがよい人生だ、という社会のレールがあります。こうした社会概念は、昭和期によくあったと思います。こうした社会概念にリアリティを与えるのが概念感覚[空対理論用語]です。これが画一的思考を生んでしまいます。

もちろん、学歴は高ければ高い方がいいと思います。しかし、受験に失敗して挫折してしまうこともあるでしょう。就職活動がうまくいかずに、自分の描いていた道が閉ざされてしまうこともあります。そうした時に発揮するのが創造性である、と創造性心理学では考えます。

こうした人生の失敗や挫折を体験・経験したまさにその時が、人生において創造性を発揮する時なのです。

画一的思考というのは、前述の例では、よい大学に入り、よい企業に就職する人生以外の人生はよい人生ではない、と言う硬直した考えです。つまり、硬直した一つの決まり切った答えとなってしまうのが画一的思考の特徴です。

こうなってしまうと、よい人生とよくない人生のどちらか、という二者択一的な思考になってしまいます。これを今井先生は、0か1かのデジタル画一思考と言い、短絡的な思考になる、として戒めていました。

こうした良い・悪いという概念感覚で決めつけた二者択一的な思考ではなく、自己対話によって(あるいはカウンセリングによって)第三の道を探って行くのが創造性であり、創造的人生の出発点であるとするのが、創造性心理学の考え方です。

通常の創造性の意味は、辞書的な説明としては、

「新奇で独自かつ生産的な発想を考え出すこと、またはその能力」
出典:日本大百科全書(ニッポニカ)「創造性」の解説
https://kotobank.jp/word/%E5%89%B5%E9%80%A0%E6%80%A7-1556439

です。もちろん、創造性心理学の創造性は、こうした通常の意味での創造性も含みますが、もう少し大きく「創造性」を捉えます。広義の意味での創造性と思っていただければいいと思います。

つまり、創造性心理学の創造性とは、既成概念を外し、二者択一ではない第三の選択肢を形成するアナログ思考である、と言えます。人生には、第三の道、第四の道など、道は、その人が思い描けば無限にあるでしょう。そして、どの道が正解かはわからないかもしれません。そうした答えなき道を創出し、肯定していくのも創造性だと思います。

↓若い頃の私と今井先生です。今井先生の研究所にて撮影。こちらに私は勤務して先生の分析のお手伝いをしていました。

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それでは、また。

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