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軽井沢日記①

軽井沢に着いた。

それはこれから2ヶ月間
リゾートバイトをする為だ。

職場に着く約束の時間は15時。

あと1時間ほどあるし
小腹がすいたのでどこかお店に入ろうと
職場に向かいながらお店を探していると
雰囲気のあるクレープ屋さんがあった為
入ってみることにした。

店員は2人。
50代程で同年代と思われる2人は
1人は鼻の下に整った髭を生やし
もう1人は短髪ですっきりとした出で立ちだ。

お客は誰もいなくて
わたしが店に入ると2人は談話をやめて
広い席へと案内してくれた。

短髪の男性がホールで、
髭の男性はキッチンを担当している様子。

バナナホイップクリーム
ドリンクセットで
温かい紅茶を頼んだ。

店内には80年代の洋楽が流れており
その時代はまだ生まれてもいないのに
なぜだか懐かしい気持ちになった。

注文したものは
時間もかからず運ばれてきた。

バナナホイップクリームのクレープは
ナイフとフォークが添えられて出てきた。

生地がもちもちとしていて
味はシンプルだけれど
すごくおいしい。
軽井沢を観光して歩き疲れたときに
このお店で甘いものを補給すれば
ますます観光が楽しくなるだろうな。

今回は観光ではないけれど。
それでも新しい職場に乗り込む前の
気持ちを十分に整えることが出来た。

食べ進めていると
ナイフとフォークで
クレープを食べたことがないわたしは
致命的なことに気がつく。

食べ始める時に
クレープのしっぽ
(世間的にそう言うかはわからない)
から食べていたので
両端からバナナやらクリームやらが
はみ出してくるのだ。

1人で来てよかった。
女友達ならまだしも
彼氏や気になる人がいる前で
この大口は見せられない。

そもそもクレープは
紙に包まれているものしか知らない。

軽井沢のイメージは
リッチなお金持ちの避暑地。
極端なことを言えば
天皇家の一族の方々は
このクレープをキレイに食べるのだろうか。
それともやはり大きな口を開けるのかな。

などと考えながら
でかい口を開けて最後の一口を食べきった。

レモンの輪切りを浮かべた紅茶を飲みながら
新しい職場に向かうまでの時間を潰す。

店員2人は
もうもみじの芽が出てきたと
話をしている。

オレンジ色の照明で統一された店内は
昔ながらの喫茶店という感じがする。

ぼーっとしているうちに
わたし1人だったお客が
2人、4人と増えてきた。

東京は雨だったが
軽井沢は晴れ。
風は冷たいが空気がおいしくて
気持ちがいい。

仕事をする為にここへ来たのだが
なんだか変なわくわくがある。

時間は14時26分。
そろそろ会計をして
職場へ向かうとする。

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