夢への距離は何センチ? 入社からの4ヶ月間を振り返る

独白


ありがたいことに、8月は2週間の長期休暇を取ることができた。
「せっかくの休みなら、パーっと旅に出ればいいじゃない?」と、友人や先輩から口を揃えてお勧めされるんだけど、僕は、「こんな時だからこそ、自分に引き篭もって、これまであったことを振り返り、見つめなおしたい」って思う。
外の世界は、いつも目まぐるしい刺激に溢れている。
その中で、いつかは色褪せ忘れ去ってしまう鮮やかな体験をするより、これまでの平凡な日々の教訓をもう一度整理し、記憶にとどめ置くよう努めることのほうが、ひょっとして価値があるんじゃないかと僕は思う。

「私は夢に近づいたのだろうか?」
 "スタートアップCEOもしくはCFOとして、2社起業してバイアウトを果たし、そのキャリアを以って、投資、教育、執筆に携わりたい"
 この夢に近づくためには、会社の中でも上場支援やM&Aアドバイスに関わるべきだと思っていたが、、

はじめてのお仕事は、ニッチな業界の規制対応

結論、夢からは遠ざかった。規制対応だなんて、全然やりたいことと違ったのではじめは戸惑った。けど、まぁやり出したら面白いだろうし、寄り道は人生の肥やしだとも思っているので、そこまで悲観的になることはなかった。
 ここまで簡単に舵切りができたのは、そもそも上記の夢がいつでも変わりうるものだと思っていたからだと思う。世の中なんて不確実なことばかりだよホント。ブーカブーカ。

どんなお仕事?

業務の流れ

クライアントが外国の規制当局に提出するよう求められている財務関連の報告書の作成支援するというのが我々のミッション。
財務諸表のデータをベースに、所定の報告書式に移し替えるということが求められている。
お手製WSを作成し、これを利用して報告書を作成し、提出したのち、当局側の監査人との質疑応答が求められるのが全体的な流れである。
この質疑応答は、実に大人なコミュニケーションの世界で、誠実な報告はもとより、効果効率的であることも求められるため、伝え方、見せ方を相当考えなければならない。上司たちの高度なやり取りを目の当たりにすることができた。

上長に求められるのは、当局、クライアント、部下へのコミュニケーション、プロジェクトマネジメント、会計の専門知識が求められ、アソシエイトの私は、エクセルスキル、BIツールの基礎知識、英語力、会計知識、上司とのコミュニケーション、自分に振り当てられたタスクのマネジメントといったところだろうか。

成長の途中経過(リライト予定)

アソシエイトが求められていることをベースにこの3か月を要約するとこんな感じだ。今後はこういうことをしていきたいなと考えている。

①Excel
これまで:MOS Expertを取得。研修にてExcelのデータの種類、挙動の理解、最善手の理解が重要であると学ぶ。土台の構築を重視。今度自分がどれくらいテクニックを習得したか棚卸してみたい。
これから:エクセルを用いた自動化に積極的に取り組みたい。VBAやマクロに慣れ親しむ。あと、生成AIも駆使していきたい。1冊本読破しよう

②BIツール
これまで:研修だけ受けてそれ以降追加のインプットしていない。あまり使わなかったから。
これから:しばらく任される機会はないのでいったん何もしない。

③英語力
これまで:私のビジネス英語は壊滅的に通じなかった。
これから:とはいえ、時間外にエネルギーを注ぐほどの克服対象ではないと考えている。タスクで積極的にフィードバックをもらいながら都度習熟していく。

④会計知識
概要:タスクの裁量が大きくなるにつれ、重要度が高まっていく印象。社内のJCPAと比較すると、USの会計知識ははるかに劣後する。努力が必要。
これまで:固定資産台帳の解読。賞与引当金の論点に実務で遭遇。
研修でヘッジ会計のトレーニングをうけた。コンバージョンの実務
これから:賞与引当金を勉強し直す。グループ間取引の実務。コンバージョン実務のインプットを急ぐ。
また、会計ではないがクライアントにはデータマネジメント関連の課題が多いので、当該領域におけるベストプラクティスを理解するよう努める。

⑤上司とのコミュニケーション
これまで:聞くことはきちんと聞けている。ところが、二回同じ質問をするときや、「これは知ってると思うのですが、、」という前振り付きの質問をされたとき、聞けないときがある。
これから:相手の常識に引きずられないマインドを持つ。わからないものはわからないという

⑥自分のタスクのマネジメント
これまで:締め切りを定められていないタスクを早く進めるべきなのか疑問が払しょくできていない
これから:タスクが増えてくるので、ちゃんとメモに書きだし、優先度をつけて取り組む。無駄なタスクを引き受けない。

ざっとこんな感じだ。仕事に慣れてきてようやく注力するべき領域にめどがついてきた。休み明けから幸先良いスタートを切れるよう、目標を精緻化していきたいものだ。

私のお仕事ライフ、プチ公開

GW後、ついに初めてのPJアサイン。ドキドキしつつ昨晩から勝手に用意していたパワポ資料で自己紹介。ぶっちゃけ練習の50%くらいしか成果が出せず、失敗した気がした。初日からわからないところをしっかり質問してクリアにする姿勢を見せられたので、しっかり失敗を生かせている自分を誇らしく思った。

5月の日記より

 日記を見返すとたくさんの気づきがあって面白い。変化の激しい3か月だったので、月ごとに、どんな取り組みをし、どう反省しているかを、日記をもとに見直してみようと思う。

5月
頻繁に出てきたトピックは3つだった。

○依頼がザツすぎる上司との格闘

「資料読んどいて」と言われたが、何を理解するために読めばいいかわからず混乱していた。

5月の日記より

 俺が分からんことは大体ほかの人もわからん
 上司の雑な依頼「全体的に確認しといてください」をしっかり詰めることができた。

5月の日記より

○終始見えないタスクと大義との繋がり

ミーティングの内容に全然ついていけない。
勉強量が足りていないのか、全然仕事の全体像が見えてこない。
目の前のタスクに気を取られてビジョンが薄れている。
自分の仕事に根拠なく自信がなくなってしまってバッドに入った。

5月の日記より

質問をするチャンスについて。質問する時間が短く、質問は山のようにあるという状況で、かなり消化不良な毎日だ。

5月の日記より

○想像以上に単純な作業

エクセルと報告書を見比べて差異を目視で検出する作業を一日中。専門性もくそもない。

5月の日記より

6月
○端数に忙殺される日々
6月はワークが大詰めだった。最後の最後まで端数の誤差に頭を悩ませていた。数字を扱う業界で働いている以上、逃れられない宿命の敵だと先輩方も諦めの念をにじませていた。
お手製ワークシートと、報告書で差があり、その差の影響が関連する複数の個所に及んでしまっていた。一生らせん階段を歩いていた。

数値が合わないことによる残業。はじめての「労働」残業。学びがなさすぎる。
 地道すぎて、さらに疲れで脳みそが働かなくなって、絶望的な気持ちになったが、晩御飯を食べて少しタスクから距離を取ることで冷静さを取り戻して最終的に問題の所在を突き止め、まとめ切って上司に21時に電話で報告。上司は、僕に対して18時以降に連絡しないようにしてるのに、自分がそこに無頓着なの本当に申し訳ない。どっかで仕返しされそう。

6月の日記より

○研修
パワポや、エクセルの操作方法について数日研修を受ける。研修は水を得た魚になる自分、日記から調子に乗ってることがひしひし伝わってきて赤っ恥だが、おもしろいのであえて載せる。

論理的でも相手の問いに寄り添えてなければ刺さらない。その意味で、みんな目的を甘く見てほとんど現状の地図化にとどまっていた。そんなんウィキでもできる。

最後のワークのアウトプットが個人的に凄い良いものだったのだが、挙手が間に合わずめっちゃ消化不良。

6月の日記より

研修2日目。スライド作成演習。一切インプットなしでひたすらアウトプットしまくるワーク。全然できなくてイライラしたけれど、逆にスライドできるようになりたいと思った。最終ワークで発表した。スライドのデザインは自信ないものの、コンテンツは普通にクオリティ自信あった。言葉遣いと論理構造でフィードバックもらった。伸び代。

模範回答、中身しょぼすぎて優越感。

6月の日記より

○実力以上の認知

 「クライアント愛が強い、新人」といううたい文句で僕の名前が独り歩きしていて、会ったことのないパートナーが僕のことを知ってるという場面に遭遇。知らないマネージャーから「話には聞いてるよ。君の活躍をね。」と言われた。
 しみじみ振り返ると、こんなありがたい言葉をもらえるなんて、幼いころは想像もつかなかったな。
 ずっと高いところを目指していれば、ちょっとずつにでも前に進むもんだ。
 会社にも感謝。コンビニで働いているとき、周りの人は僕の悪い噂ばっかり流してたが、今は僕の良いところを波及してくれる。金夜の同期飲みで、冗談でもパートナーを揶揄してしまったことが後ろめたい。

6月の日記より

7月
○研修
7月の大半は研修で終わる。
印象的なパートナーがいて、その人のメッセージを聞けたのがでかかった。

「会計の先には必ず人間の営みがある。逆に人間の営みに会計が先んずることはない」

 ワークでは、会計を実務に落とし込んだ時に生じる難しい論点を紹介してもらった。めちゃくそ楽しかった。
 例えば、会計期間の期ずれ調整。12月決算の会社が4月決算に決算時期を変更するときなどのことを期ずれ調整というのだが、J-GAAPでは、そのギャップが3か月以内の場合、重要な変更箇所のみ開示で事足りる一方、IFRSはより抽象的で厳格なルールを強いている。それは、
期末日が異なる場合、「実務上不可能な場合」を除き、子会社は、連結のために、親会社の財務諸表と同一現在の追加的な財務諸表を作成することになります。

[IFRS導入時における決算期の統一|アビタスコラム|IFRS(国際会計基準)を学ぶならアビタス/Abitus](https://www.abitus.co.jp/column_voice/ifrs/column_voice7.html)

議論では、この「実務上不可能な場合」とはどんなものなのかということを同期と議論したが、全然収拾がつかない。最終的な講師の見解としては、「実務上不可能な場合とは、月に行くことが可能になったこの世の中で月に行くより困難な場合」に着地していた。つまり、つべこべ言わず調整しろということだ(笑)

7月の日記より

まとめ

4月に思い描いていた壮大な夢からは遠ざかってしまったが、「居酒屋で自分にしかできない物語を語るストーリーテラーになる」という、ささやかな「ありたい人間像」には近づけているかな。
今回はじめて、まじめに自分のIRを書いてみたが、「成長の途中経過」は書きたい内容に近い気がしてしっくり来た。継続的にやっていきたい。

 ここ数か月で、やりたいことというのは、星座に似ていると思うようになった。僕らが北斗七星だと思っているものは、そこに新たな星をおけば、別の星座になるように、経験という点が増えればやりたいことはおのずと変わっていく。
たしかに、自分の意識の外から、やりたいことが変えられるというのは、なんだか怖い。けれど、僕はできるだけ、この諸行無常な、自分のアイデンティティの流転を、愛し、楽しんでいこうと思う。

 少し前、pivotというメディアでジル=チャンが話した内容にとても共感した。

PIVOT「静かな社員が最後は勝つ」

私がAIにとって代わられぬと思う部分は「リアルさ」。弱さや失敗、そういった自分の欠点だと思っていたようなことに価値がある。欠点のように見えていたものがあったからこそ今の自分がある。そういった教訓を共有すればだれかの人生に役立つかも。失敗のシェアこそリアルさ。パーソナルなストーリーがAIには変われない人間の唯一無二性を作り出している。失敗してそれを語るのが人間。人間らしい経験を持つことが、これからの社会に大事なこと。

PIVOT「静かな社員が最後は勝つ」より

一人の人間の価値が「自分の目指す到達点への進捗度」ではなく、「リアルな経験の積み重ね」そのものに宿るとするならば、どんな道を歩むにせよ、勇気がもらえる。

最後頑張っていい感じに終わらそうとしすぎて締めに苦しんでいるが、少しでも私の位置情報が伝わり、面白いと思ってもらえたらこの上ない。こんな駄文を呼んでくれた読者の方には頭が上がらないです。ありがとう。

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