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「閃光スクランブル」を読んだら、アイドルを見る目が変わった

 元ジャニヲタなんで、「シゲちゃん」には特別な思い入れがある。NEWSのライブは一回だけ行った。友達がNEWSのファンで、チケット一個余ったから行く? って言われてのこのこついてった。そこで見たシゲちゃんのまあ妖艶なことな。その時シゲちゃんが歌ってたソロは「あやめ」やってんけど、マジで息止めて見てしもたもんね。なんだ、この人? って思った。っていうのも、NEWSの中で誰が一番好き? って聞かれたらずっとシゲちゃんって答えててん、私は。純粋に、顔と声のトーンがタイプやったから。けど、「あやめ」を生で聞いた瞬間思ったね。
あ~、私シゲちゃんのことなんも知らんやんけって。

 わざわざそんな古い記憶を引っ張り出してまで言いたいのは、要は「加藤シゲアキ、マジやべえ」ってこと
 ジャニヲタで、シゲちゃんのファンでもあったのに、実はシゲちゃんの小説を読んだんはこれが初めて。正直、読みたいとも思ってなかった。私が好きなんはさ、「アイドル」のシゲちゃんであって、「小説家」加藤シゲアキじゃないのよ。解釈違いってやつよね、言うたら。
 それが今回急に読もうと思ったのは、ジャニヲタ辞めたから。アイドルヲタ辞めた今なら、解釈もクソも無いし読めんじゃね? って思って借りてきた。

結論、これは読んどいてよかった。

 あらすじをちょろっと説明するとしたら、まあパパラッチの話。重い過去があるパパラッチと、実は不倫をしてるトップアイドルの話。二人それぞれの目線で話が進む。なんていうか、アイドルのシゲちゃんを知っているからこそ、アイドルパートは苦しいもんがあった。キラキラ華やかそうなアイドルの裏の顔が、あまりにもリアルなもんで。なるべく考えんようにして、「あー、アイドルも色々あるねやなぁ」くらいにとどめておいたけど、あれ考え出したら普通にドルヲタは病むんちゃう?

 一番「すげえや」って思ったのは、色彩
 文章の中で色伝えるのってめちゃんこムズない? 私はくっそ苦手。中二病的な言い方をすると、私の思い描いている『赤』と、読者が想像する『赤』が同じ色である確率ってめちゃくちゃ低いと思うわけよ。一口に『赤』って言うたって、すごい種類あるからね。ふと気になってググってみたら、まあサイトによって差異はあるけど、多いとこやと96種類ってなってた。そんだけいっぱいある中から、ぴったりの色を真っ直ぐ読者に伝えるのってほぼ不可能に近いやんか。
 確かに、「加藤シゲアキ」が思い描いた色彩と、私が想像した色彩は多少違いはあると思う。でも一個確実なのは、私が思い描いたシーンの全てがめっちゃ色鮮やかやったってこと。
 基本私が小説読んでるときは、頭の中で同時進行で映像が流れてるイメージなんやけど、大抵の場合「色」って重要視してない。から、必然的に頭の中で流れる映像はモノクロのイメージなわけよ。それが今回はもう、フルカラー。オールカラー。気付いたら、頭の中の映像に色がついててびっくりした。無意識のうちに「色」を想像させる文章って、すごくない? どうやったらそんなことが出来んの。マジで謎なんやけど。

▼▼▼以下ネタバレ&読んだ人しか分からん話をするので注意▼▼▼






アッキーの心情変化もマジで胸が苦しくなるね、あれ。アイドルってみんなあんな感じなんかな。センターになれなかったらやっぱりめちゃくちゃ悔しくて、その穴を埋めるためにちょっと危険なものに手を出して見たくなったりとか、真面目な人ほどそういう感覚になってったりすんのかな。不真面目な人やったらうまい具合に抜くとこ抜けたりしそうよね。これを現役のアイドルが書いてええの? って度々思っちゃった。

 所々に出てくる、アニメ的な演出もお洒落やったな。例えば、ジャックオランタン。最初は違和感あったけど、最後なんで「ジャックオランタン」やったのかが解明されたときすごいすっきりする。加藤シゲアキ氏、知識幅広ぇ~。

 知識の幅広さで言うたら、カメラの話とか雑誌の相場の話とか、ああいうのはどうやって仕入れたんやろ。めちゃくちゃ調べたのか、それとも元々知ってるものを組み合わせて書いた小説なのか。映画とか音楽の話も多かったけど、ああいうのっていつどうやって思いつくもんなんやろ。出てくる映画やら音楽やら人名やらが全部最後繋がっていって、これすら伏線やったんかってビビってんけど。

 ラストシーンでタイトル回収するのもアニメっぽい演出よね。最後まで展開が二転三転してて、完璧なラストを予想するのは確実に無理やった。いわば「敵同士」の二人が、最後一緒に逃避行することになるとか考えられんやんか普通は。

 ずっと最後までわくわくしながら読めた。これを機に、加藤シゲアキ氏の小説は片っ端から読んで行こうと思う。


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