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8冊目 「アラサーがVTuberになった話。」

 皆さんこんにちは。maziceroです。前回の記事を読んでくださった方には、「某有名作家のデビュー作を紹介する」と言ってましたが、読み終わった順番の関係で、こちらを先に紹介します。
 
 ということで、今回紹介するのは、とくめい。さんのweb小説原作の「アラサーがVTuberになった話。」です。いろいろ言いたいことがあるので、とりあえず本編に入りたいと思います。次の章「web小説をわざわざ書籍版で買う意味」は読まなくても良いですが、購入を迷ってる人や、否定派の人が読んでください。
 あと、見出しは途中まで頑張って、途中で諦めました。

 では、どうぞ!

web小説をわざわざ書籍版で買う意味

 今回はweb小説原作ということで、webで読めるわけですが、人によっては書籍版の方をお勧めします。というのも、書籍版は「売れるように改変されている」からです。
 
 どういうことか。

 大きな要素としては三つあると思います。

 まずはイラストがあること。
 もちろん、文章だけでそのキャラクターの完全なイメージができればいいですよね。しかし、人によっては全然違う顔を想定するわけで、何なら、見落とした情報なんかもあるわけで、イラストがないと「(作者が思い描いたイメージと比較して)不完全なイメージ」になってしまいます。
 その問題を解決してくれるのが、イラストです。イラストがあれば、小出しにしないといけない人物設定も出さなくて済みます。文章もダルつかないので良いですよね。
 ということで、個人的にはイラストの持つ意味はかなり大きいと思っています。
 今回の作品に限った話すると、言葉よりも絵の方がはっきりとします。VTuberという存在に不可欠な立ち絵(タレントの宣材写真と同じだと思ってください)は、言葉で表現するよりも、絵の方が圧倒的に早く済みます。当たり前です。人の容姿は言葉で伝えるよりも、写真を一枚見せたほうが時短になります。それに、的確で、必ず正しい。だからこそ、この作品には必要だと思います。

 次に、編集者や校正者の手によって、誤字や分かりにくい言い回しが解消されていることです。
 出版社もバカではありません。書籍版にするということは、いくらかの修正が入っています。その中でも、個人的に重要なものはこの二点です。
 web小説は自分だけで作業が完結します。ということは、自分では気づかない誤字や分かりにくい言い回しも見過ごしてしまいます。
 人によってはかなり気を遣っているみたいですが、普段web小説も読んでいる身としては、結構誤字が気になります。あと、溢れんばかりの厨二表現とか、会話表現で頻出の主語誰やねん現象、こいつ絶対こんなこと言わないでしょ問題などなども気になります。
 そういった、内容とは関係ないところで気が散ってしまう人は、書籍版を読んでもいいかもしれません。

 最後の三つ目は、加筆されていることです。
 今回の作品もそうですが、加筆によってweb小説版で省かれていた部分が明確になったりします。
 それだけでなく、売れる要素として足らなかったり、もっと必要だったりする「魅せポイント」が足されているところも大きいです。
 今回の作品では、主に最初の方の地の文、いきなり出てきた謎行動などの原因・理由が足されていました。他の作品では、一巻で加筆したからこそ、後々の展開が変わったものも多々あります。
 加筆部分はweb小説の方で疑問に思っていた部分を解消してくれたり、この登場人物って、もっとこっち寄りだったのか、と気づきも多いです。

 クドクド書いてきましたが、web小説だけでいいと思ったなら、それで良いんじゃないでしょうか。昨今の出版業界的には、売れそうだったら出してみる、という部分がどこかあるので、それに付き合わなくても良いと思います。
 ただ、少しでも買おうと思ったなら、ぜひ買ってください。少なくとも、作者は読者の期待を裏切らないように書いてくれているはずです。そして、たった一部(一冊)でも売れると、作者は大体喜びます。その喜びがその作品の(web小説の連載の)存続にも影響していると思うので、買ってみてください。
 あと、何らかの理由で燃えたり、焼失しない限り、永遠に手元に残ります。金銭的に余裕があるなら買ってみてください。

 ということで、ここからは本編です。あらすじは書きません。なぜなら、web小説が投降されているからです。がっつり試し読みができるので、そっちを読んでください。というか、今から読んできてください。

おすすめポイント① テンポがいい

 テンポがいいという点は、めちゃくちゃお勧めできます。ただし、書籍版から入った人や、web小説の方のテンポが速いと感じた人については、です。加筆しているからか、スマホの画面上では視線が滑るからなのか分かりませんが、書籍版はweb小説の方よりもテンポが遅いように感じます。とは言え、多くの小説と比べたら、ちょっと早いぐらいなんですけどね。 

 テンポがいいからこそ、ダレる部分がないので、集中力が持続します。なので、「ちょっと、難しい作品が続いてるな~」とか、「身構えずに読みたい」と思ったときに向いています。

おすすめポイント② 一話が短い

 テンポもいいですが、一話一話も短いです。物語の部分が約415ページに対して、章が33あるので、一話あたり12~13ページで読めます。A4紙にぎちぎちと書かれたプリント6枚分です。実際にはもっと少ないので、そう考えると気負わずに読めますよね。文字を読むスピードを600(文字/分)とすると、A4一枚で1200文字ぐらいなので、30分で一話読み終わる計算になります。
 もう一度言いますが、実際にはもっと少ないんです。ということは、実際は25分ぐらいで読めます。高校の授業が50分とすると、一コマで二話も読めます。それぐらいなら、集中力も続くと思いませんか?

おすすめポイント③ 絵がいい

 これについては「web小説をわざわざ書籍版で買う意味」でも言いましたが、もう一度触れます。
 というのも、僕は主人公の神坂怜を具体的にイメージできなかったんです。何なら、もっとかっこいい子にするのかなと思っていました。

 いい意味で裏切られましたね。

 確かに、アラサー設定で、過労で倒れそうになったから会社を辞めたっていう設定。だからこそ、見た目は若くても、目の下に隈があるべきなんですよ。表紙絵を見て納得しましたね。
 ほんとに、こういうのは絵で見せてもらった方が早いなって思います。

おすすめポイント④ web小説のファンにはうれしいアレ

 これは、web小説を読んでいる人だからこそ、うれしいポイントです。
 スレッド(web小説では最後の方に載ってる部分、書籍版では横文字になっている部分)のユーザー名の中で赤字になっているものがありますよね。その人たちのコメントを追っていくだけでも楽しいです。が、何回も読むと、「SisterChanって…」、「このハンドルネームって、もしかしてあの女性の方?」と楽しくなってきます。良いですよね。ちなみに、web小説の方を4周ぐらいしている私ですが、あのハンドルネームの方には初めて注目しました。僕の中でこうなんじゃないのという予想がありますが、間違ってたらハズいので書かないでおきます。

まとめ

 長々と書きましたが、vtuber物の作品を探している人には、この作品がおすすめです。他にもおすすめの作品はありますが、この作品はスレッドと主人公の二視点で描かれるため、一回読んでみてもいいと思います。合わなかったら、その時です。なんならweb小説の方もあるので、そっちで試し読みしてみるのも良いと思います。ただ、スレッドは圧倒的に書籍版の方が見やすいです。

 ということで、結論は「読んでみろ!」ですね。だって、無料で読めるものがあるんですから、僕が語るよりも実に雄弁なんですもん。

 そんな結論を出してみたところで、今回は終わりたいなと思います。
 次回は前回予告した作品の感想を書きます。では、次の記事でお会いしましょう。お相手はmaziceroでした。


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