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悪魔の酒精分(1)

「なんだよ、パートナーの俺を信用しないのか?」
「いや、君は信用している。だが、人間はだれでも悪魔を心の中に持っている。それには気をつけなければいけない。」
「ミニミニ大作戦」は別になんということもないアクション映画でしたが、私の大好きな俳優ドナルド・サザーランドの言うこの言葉だけは含蓄を感じましたね。

悪魔の正体はまさにこれでしょう。鋭い眼光、裂けた口など、おそろしい容貌のサタンやデビルなどは人間の精神のある面をビジュアルとしてデザインしたもんで、狡猾、貪欲、怠惰、憤怒、嫉妬、高慢など悪魔の特徴は、つまり人間です。
キリスト教に7つの大罪というのがありますね。肉欲とか大食とか入ってて、そんなの罪なのかと思うほどですが、同じく大罪に数えられる高慢・憤怒などは、「プライド」・「怒り」ともいえ、悪いどころか善い面もあり、表裏一体で切り離して語ることはできないんですよね。
というわけで人間は己の存在が微妙なのを知ってか知らずか、神を崇拝するのと同じくらいの労力をもって、絶対悪を確かめたくてしょうがないわけです。

映画「オーメン」におけるダミアンの怖さは内面の怖さ。本人は表面(おもてづら)はむしろ誠実で無垢にみえるからこそ、不敵な笑みに悪魔をみる。異常な頭の良さに怖気がはしる。
「ドラキュラ」クリストファー・リー。ドラキュラ役者といっていいでしょうね。その後「ロードオブ・ザ・リングス」シリーズでは魔術師サルマン。「スターウォーズ」シリーズではドゥークー伯爵と、闇落ちキャラが身についてしまったのも、ドラキュラの影響かもしれません。」
「ドラキュラ」こちらはコッポラのドラキュラ。ドラキュラ伯爵がゲイリー・オールド、マンミナ・マーレイ 、エリザベータの二役を ウィノナ・ライダー(!) ヴァン・ヘルシング教授を アンソニー・ホプキンスというわけで、見なきゃいかんでしょ。ゲイリーオールドマンの狂気とロマンティシズム、そしてアンソニー・ホプキンスとの狡猾な会話を。

「ドラキュラ」は人間を悪魔寄りに蒸留しましたみたいな人ですね。意外にロマンチストなキャラクターが定着してしまった分怖くはないですが、「人」と「悪魔」の関係性を表す絶好の存在のため、何度も映画化されているのでしょう。ずるがしこくて、裏を突くことに長けている。こういう人は見てておもしろいんですよ。悪い奴でも。(続く)
◆悪魔の酒精分(2)


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