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過去への望遠鏡(前編)

 ひいおじいさんがどんな人か?知ってる人はそんなにいないでしょう。私のひいおじいさんは権吉といって、大酒飲みでそのころやってた家業の染物屋をつぶしてしまったそうです。
 つぶしたから有名なだけで(私の家族だけですが)普通は調べてもわかりませんよね、たぶん。
 でも、日本には天皇家があります。気が遠くなるような時間経過とあの系図から考えたら、ほとんどの日本人には天皇の血が入っていてもよく、いわばみんなの大先祖ですね。
 私は家を潰した先祖にも興味はあるけれども、名もない島国を日本にした“我が家の大先祖”天皇について「何者だったのか?」と時々見遥かす思いで考えます。
 ただ、先の方はぼやけていて、過去を限界まで見ようと思ったらちょっとした技と想像力が必要です。

 それがわかる話がひとつ。
「宇佐八幡神託事件」というのを歴史の時間に教わりませんでしたか?
 平安時代、道鏡というえらいお坊さんが時の女帝・称徳天皇の信任を得、次の天皇になろうとしたけれど、九州の宇佐八幡(宇佐神宮)から「一般人は天皇になれませんよ」と神託が下り、なれなかった事件。
 ま、言えばそれだけの事件なのですが、「なぜ宇佐八幡に聞く?」と変に思いませんか?近くに先祖を祭った伊勢神宮があるのに、わざわざ遠く九州あたりまでお伺いをたてに行く理由は?八幡というのはお告げをよく出す神様だそうです。よくしゃべってくれる神様だから聞いたんですかね。
 というより朝廷は後継問題という重大事ゆえに宇佐八幡に聞いた。宇佐八幡に問うべき過去があったと考えるのが普通でしょう。

 これは過去への望遠鏡。その時代の人がそれより前の過去をどう思ってたかがわかれば、さらなる過去が見えてきます。
 そこは天皇家にとって、最重要の意味を持つ場所だったんだと思います。(続く)

★宇佐八幡は、正式には 宇佐神宮。朱塗りの鮮やかな社殿が印象的。祭神は応神天皇、神功皇后、比売大神の三柱。本殿のある丘陵・亀山は、コレは明らかに古墳ですね

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