見出し画像

【遊戯王で学ぶ!】世界の偉人(ケプラー編)

皆さんは「遊戯王」というカードゲームをご存知でしょうか?
このカードゲームは他ゲームと比べて、非常に“名前の繋がり”を大事にしており、“同じ名前を持つカード”同士を組み合わせるとより強力なシナジーを生むようなデザインが多くあります。

それぞれのテーマにはもちろん元ネタが存在し、それを元に各種モンスターカードや魔法カードの名前が作られています。
そんな遊戯王のカードを元にして色々なことに詳しくなっちゃおう!というシリーズでございます。

その中で今回は【DD】に使われている一枚、《DD魔導賢者ケプラー》について解説していきます。


【DD】の元ネタは?

はい。
ここからは遊戯王に関して基礎的な知識を持っていること前提で書いていきますので、興味なければ次の章からご覧ください。

【DD】と言うと、一時期環境にも現れた非常に高度なソリティアを繰り返すテーマです。

融合、シンクロ、エクシーズ、リンク、ペンデュラムと遊戯王における主要な召喚方法を一通り駆使しつつ展開していくため動きに派手さがあり、一定数のファンが存在します。
また、そのソリティアは非常に難解で、時と場合により展開方法が全く異なっていくため、飽きがこないテーマとして多くの人に研究されています。

その中でも《DD魔導賢者〇〇》のように「魔導賢者」の名前がつくカードは歴史上の科学者が元ネタとなっております。
今回焦点に当てるのは、その中の一枚、《DD魔導賢者ケプラー》です。

《DD魔導賢者ケプラー》

ペンデュラム・効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻   0/守   0
【Pスケール:青10/赤10】
(1):自分は「DD」モンスターしかP召喚できない。
この効果は無効化されない。
(2):自分スタンバイフェイズに発動する。
このカードのPスケールを2つ下げる(最小1まで)。
その後、このカードのPスケールの数値以上のレベルを持つ、
「DD」モンスター以外の自分フィールドのモンスターを全て破壊する。
【モンスター効果】
このカード名のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、
以下の効果から1つを選択して発動できる。
●このカード以外の自分フィールドの「DD」カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを持ち主の手札に戻す。
●デッキから「契約書」カード1枚を手札に加える。

モンスター効果は「契約書」のサーチ。
これにより《地獄門の契約書》をサーチできるため、実質的にこのカードがデッキ内の全てのDDモンスターにアクセスできると言って良いでしょう。
それだけでなく、《魔神王の契約書》から《DDD烈火王テムジン》に繋げ展開を進めたり、《戦乙女の契約書》で妨害をしたりと、このカード1枚でできることが無数に存在します。

《地獄門の契約書》をサーチした場合、その《地獄門の契約書》から《DDグリフォン》をサーチし、《DDD深淵王ビルガメス》のリンク召喚へと繋がります。
【DD】における最も基本的な初動ですね。

このように、展開の起点となり、リソースとなり、最高の初動札となるため最も重要視されるカードです。

《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》をペンデュラム召喚できるスケールのため、稀ですがペンデュラムゾーンにセットされることもあります。

まさに「【DD】と言えばこのカード!」というべき存在ですね。

ケプラーの元ネタは?

さて、ここからが本題です。
この《DD魔導賢者ケプラー》の元ネタとなった科学者が「ヨハネス・ケプラー」。
とんでもない偉人なのですが、テレビや本で紹介されることも滅多にないので、「誰?」と思っている人も少なくないでしょう。

とはいえ、最近ではアイドルグループ『Kep1er』の影響もあり、名前くらいは聞いたことある人というのも増えてきているのではないでしょうか。

折角の機会ですので、ケプラーがどのような人物なのか学んでいっちゃってください!

プロフィール

ヨハネス・ケプラーはアルファベットで書くと
Johannes Kepler。
「Jo」を「ヨ」と発音することからもドイツ近辺の人物であることがわかります。

余談:
ドイツ語の通例として
Jをヤ行で発音したり、Rをルと読んだり、Wをヴと読んだりします。
「wurm」は「ヴルム」と読み、英語読みだとワームになります。
「michel」のミシェル(フランス)、ミヒャエル(ドイツ)、ミケーレ(イタリア)、ミカエル(スウェーデン)みたいな関係ですね。

1571年に生まれ、1630年に死没しています。日本で言うと戦国時代が終わりを迎え、江戸時代が始まった頃ですね。
出身は神聖ローマ帝国の自由都市、ヴァイル・デア・シュタット

・・・ラノベかよ!!!

神聖ローマ帝国は、まぁ聞いたことある名前ですよね。
世界史の授業で出てくる。
「神聖ローマ帝国」という名前ですら中世のヨーロッパ感が漂ってラノベみたいな雰囲気なものですが、

「自由都市、ヴァイル・デア・シュタット」
ってなんじゃーい!
転生系ラノベで主人公が転生した異世界の街の名前かよ…トホホ…

自由都市ってのは、中世ドイツで帝国の支配から離れた都市のことのようですが、
そう言う設定すらもラノベみたいですね。

ちなみに、ヴァイル・デア・シュタットではケプラーが有名すぎて「ケプラーの街
」と呼ばれているそうです。

母は薬草を売って治療をする、いわゆる『ヒーラー』。
いや、ラノベかよ!
しかし、のちに魔女裁判にかけられてしまいます。
はい、ラノベです。

流石は中世ヨーロッパ、世界観が完全にラノベのそれです。
というか、ラノベが中世ヨーロッパに寄せているのか?

生涯

学生時代

ケプラーは4歳の時に天然痘にかかり、視力が低下してしまいます。
(ちなみに、天然痘ってのは史上唯一この世から絶滅したウイルスだそうです。もう今となっては天然痘に罹ることはできないのですね。。。)

目が悪いというのは学者として致命的だそうですが、それでも幼いときに家族と見た彗星や月食に影響され天文学に興味を持ちます。

本格的に「天文学」というものを知ったのは大学生の頃、
プトレマイオスやコペルニクスに影響を受けたそうです。

こちらも遊戯王に登場する科学者。いつか記事にしたいですね。

ケプラーを一言で表すなら「天才」
彼の頭の良さが人生の中で随所に現れてきます。

幼少時代から神童のような存在だったケプラー君。
その頭の良さを認められ、小学校の先生からは神学科を勧められました。
日本ではあまり馴染みがありませんが、当時のヨーロッパでは牧師さんってめちゃくちゃ儲かったのでしょう。
頭のいい人は牧師になって儲けるということです。
日本で言うところの、「頭いいから東大出て一流企業に勤める」みたいなもんだと思ってください。

しかし、想像以上に天才で、大学を卒業する時には牧師よりも数学教師を目指すように言われてしまいます。
その頭の良さをちゃんと学問の発展に活かしてほしいということなのでしょう。

卒業後

というわけでオーストリアのグラーツというところで数学と天文学の教師となったケプラー先生。
しかし、皆さんお分かりの通り、必ずしも「頭のいい人=いい先生」ではありません。
ケプラー先生も授業中に自分が閃いたアイデアを検討し始め、授業を放棄してしまうという暴れっぷり。
まぁ授業が途中で終わるから喜ぶ生徒もいたのかもしれませんが・・・

このとき、ケプラーは地動説を支持していて、地動説の生みの親、ガリレオから応援の手紙をもらえたそう。
当時はキリスト教がヨーロッパを支配していた時代。
キリスト教的には人間は特別な存在です。そんな人間が住んでいるのだから、この地球も特別な存在であり、そんな地球は世界の中心のはずなのです。
そんなこんなで、地動説を信じる人なんてほとんどおらず、そう言った意味では本当に貴重な存在だったのでしょう。

ちゃんと遊戯王にもガリレオは登場しています。
こちらもいずれ記事にしたいと思います。

ケプラー、家を追われる

そんなある日、当時の皇帝フェルディナント二世がプロテスタントを排除する運動を始めました。
ケプラーはプロテスタントであったため、これにはびっくり。

ちなみに、プロテスタントってのは「最近のキリスト教はキリスト教じゃない!初期こそ至高!」っていう感じのキリスト教の一派です。
どんどん絢爛豪華になっていくカトリックに対して反抗していた人々のことですね。
今でも「〇〇は1期の方が良かった。一般人に広く浸透してきてから〇〇の良さが損なわれてきた。」っていうアニメオタクの方々とかいますよね。

プロテスタントの排除っていうと、最近アニメにハマり出した陽キャが昔からのオタクを迫害するような感じです。多分。

というわけで、ケプラーは仕事を辞めさせられてしまいます。

職を失い路頭に迷っていた時、ティコ・ブラーエという人物から招待され、チェコのプラハへ移り住むことになります。
カタカナばっかでわかりづらいですが、「ティコ・ブラーエ」が名前、「チェコ」が国名、「プラハ」が街の名前です。
ティコは天体観測をしながら天体データを集めていた人物で、研究の助手が欲しいためにケプラーを誘ったそうです。

ところがどっこい。ここでもケプラーの天才性が出てきます。

ケプラー氏を雇ったティコ。しかし思わぬ誤算が出てきました。
ケプラーはティコの想像を超える程の頭の良さだったのです。
そのため、ティコは研究成果を奪われるのでは無いかと疑い、観測データは一切見せなかったそうです。何のために雇ったのか。

窮地を救ってくれたケプラーの恩人ように感じるティコですが、ケプラー的にもマジで嫌いなタイプの人物だったようです。
結局、分かり合える人と出会うって難しいんですね。

しかしその後、ティコは亡くなってしまいます。
その結果、ティコの膨大な観測データはケプラーのものに。
このデータを活かしてケプラーは研究を進め、1609年『新天文学』を刊行します。
日本では、江戸時代が始まった頃ですね。
この『新天文学』の中に有名な「ケプラーの第1法則」(惑星は楕円軌道で動いている)、「ケプラーの第2法則」(移動距離と太陽で囲まれた面積は一定)が収録されています。
どちらもめっちゃ大量のデータを見ながら考えだされたものっぽい感じがしますよね。

ちなみにこの論文、ティコの遺族に邪魔されて刊行が遅れたそうです。
どんだけ仲悪いねん。


その後も、
「最低点の女と結婚した」とポリコレ的に最悪な発言をしたり、
「街のワイン売りの測り方が適当すぎるから」と言う理由でワインの測り方に関する本を出版したり(現代の積分に近い考え方をしていた)、
母親が魔女裁判にかけられたり・・・

紆余曲折を経ながら、1619年「宇宙の調和」を刊行します。
ケプラーの第3法則(惑星の周期の2乗は半径の3乗に比例する)が載っていました。


さて、主なケプラーの生涯については以上です。
次にさらっとケプラーの法則について確認しておきましょう。

ケプラーの法則

ケプラーが生み出した有名な3つの法則について簡単に説明します。
ただ、僕は物理学を趣味でちょこっと調べたことがあるくらいなので、見当違いな説明をしていたら優しくコメント欄で教えてください。

ケプラーの第1法則(楕円軌道の法則)

何となく、惑星の軌道は綺麗な円形のイメージがありますが、実は楕円だったということを発見します。
まぁ完璧に綺麗な円形を描く方が確率的には低いだろうと言われればそれまでですが、実際の原因は他にあるそうです。
しかも、楕円と言いつつもかなり正円に近い楕円のようで、そのせいもあって正円のイメージがついてしまっているのかもしれませんね。
(彗星なんかは楕円のイメージが強い)

ケプラーのすごいところは、
この楕円について、描く軌道の式を作り出したところです。
地球だけでなく、すべての惑星において、恒星との間で作られる楕円の形が分かったのですね。

ケプラーの第2法則(面積速度一定の法則)

一定時間で進んだ惑星の移動距離と恒星とを結んだ線で囲まれた面積はいつも一定になると言う法則です。
わかりづらいと思うので、wikipediaから拾ってきた画像を貼っておきます。

これ、不思議なことがわかります。
そもそも惑星軌道が正円だったら、どの区間で動いても移動した距離は同じはずですし、恒星との距離も同じはずなので、絶対に面積が等しくなるはずなのです。

しかし、現実の惑星は違いました。(ケプラーの第1法則)
楕円軌道を描くのでその時に惑星がいる場所によって、進んだ距離も恒星との距離も変わってくるのです。
そう考えると、面積は毎回バラバラになるはずなんですよね。

にも関わらず、面積が一定ってことは、場所によって惑星の速度が速くなったり遅くなったりするのではないかと予想できます。

この法則は角運動量によるものだそうですが、角運動量自体が非常に難しい概念なので勉強したら追記します。

ケプラーの第3法則(調和の法則)

この法則名が一番かっこいいですね。

惑星と太陽の距離と惑星の公転周期に関する法則です。
距離と公転周期の比は常に一定となるそうです。
未知の天体が見つかっても、この定数がわかっていれば距離か公転周期かのどちらかを調べるだけで自動的にもう片方もわかることになります。

一見すると他の2法則に比べて直観的に分かりづらく、地味なイメージがありますが、
この法則を元にニュートンは万有引力の法則を導き出したそうです。
縁の下の力持ち!!

影響

ここまで見てきたように、ケプラーが世界に残した影響は絶大です。
特に、惑星軌道が楕円だと言うことは当時のヨーロッパ的には受け入れ難いことでした。

最初の方にも書きましたが、まだまだ“キリスト教主体の世界”だったため、
宇宙みたいな神秘的なものは「完璧である」はずであり、「完璧=正円」だったわけです。
そんな中に一石を投じることとなったケプラー。
同時に地動説も主張しています。
こちらも「地球こそが世界の中心であり、他の天体は全て地球の周りを回っている。」というキリスト教的世界観をぶち破るものでした。

プロテスタントなのにね。

と、ここまで現実主義っぽい一面を見てきましたが、バリバリの理想主義者です。
ピタゴラスのように「この世界は数学的に美しいものである。」というヤバめの思想を強く持っていました。

ケプラーは「正多面体は5種類しか無いから惑星は6種類しかない」というわけのわからないことを主張しています。
各惑星の軌道がそれぞれ正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体で囲まれているかららしいです。
まぁもちろんそんなことはなかったわけなのですが。
地動説を支持しつつも、数学の神秘さに取り憑かれてしまっていたのですね。


また、「人を点数で見る」という人手なしな一面もあり、彼の思う最高点の女性と結婚したようです。
しかし、結果的には最高点どころか最低点だったようで、それが「最低点の女と結婚した」という言葉につながっているのですね。
結婚はいい点数を出すものではないということでしょうか。


そして、最期は自分の死期を占い、絶望してしまい、更には実際にその頃亡くなってしまったようです。
病は気からということなのかもしれません。知ってはいけない未来もあるのでしょう。


終わり

以上でケプラーの解説は終わりです。
古典物理学の頃の学者なので、派手な理論ではなく、面白みは薄いかもしれません。
しかしその分、基礎的なことであり、後の物理学に大きな足跡を残したとも言えます。

日本ではちょっとマイナーなケプラーについて少しはご理解いただけたのではないでしょうか?
何より、こんなマニアックな学者に対して興味を湧かせてくれる遊戯王という存在も素晴らしいものですね!

今後も、遊戯王など、カードやゲームを元に歴史上の人物を紹介できたらと思います。

面白いと思っていただけたら是非フォローや記事の拡散をお願いします!!


カードゲームのことばっかつぶやいています。
Twitter(今となってはXになってしまいましたが)のフォローもお願いします!


他の記事も見ていってください。


音楽も作っていたりします。


「投げ銭でもしてやるかー」って方は大歓迎です!


それでは、次の記事でお会いしましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?