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ポケカにわかはクソ

僕がポケモンカードに出会ったのは6歳くらいの時。
祖母の知人がポケモンカードをやっていたそうで、余っていたカードを大量にもらうことができた。
ポケモンカード第4弾ロケット団の頃。


それから順当にカードゲーマーとして歳を重ね、大学生の頃には遊戯王をプレイすることになる。
この時、スリーブ欲しさにポケモンカードを再開することにした。

今はどうだか知らないが、当時は公認大会に参加すると限定のスリーブを数枚手に入れることができた。
期間内に何度か参加すれば1デッキ分のスリーブを手に入れられる。
順位によってもらえる枚数は異なるため、強い人はかなりの枚数を確保していたと思う。

時は《ガマゲロゲEX》全盛期。
あまりのクソゲー環境に「ガマゲロゲを禁止しろ!」という声が上がっていた。

2個玉も普通に使えたので、最序盤から相手をロックし続けた

魔導・征竜環境を経験した身からすれば、大した物ではなかったが、やはり明らかにゲーム感を損なうカードは嫌われる。

当時ポケモンカードをやる人間はあまりおらず、カードを揃えるのに苦労した。
トレーナーカードは殆どのデッキで同じものが使われているかなりの汎用札だったため、需要が高かった。反面、供給するプレイヤーもショップも少なかったため、カード1枚当たりの値段は高めだった。

この時のプレイヤー層は
・昔からポケモンカードをプレイしている青年
・学校でポケモンが流行っているからカードゲームも手に取ってみたであろう小学生
・その小学生に付き合っていたら自分の方がハマってしまったパパ
・同様に子供に付き合って仕方なくプレイしているママ
と言った感じだった。

他カードゲームからやってきている者はあまり目にしない。
どちらかというと、“幼い時にポケモンカードに触れ、その後他のカードゲームに手を伸ばす”と言う方が一般的なのだろう。
実際、僕もそうだった。


そして現在、ポケモンカードの人気は凄まじい。

かつて遊戯王が世界シェアトップになった時、順位が
 1位:遊戯王
 2位:マジック:ザ・ギャザリング
 3位:ポケモンカード
だと言われていた。
その時は「ポケモンカードなんてやっている人いるのか?」という風潮だった。海外人気が根強く3位になっていたらしい。

しかし、今となってみれば誰しもが存在を認知している大人気カードゲームだ。そりゃ世界3位の販売数だろう。


2年ほど前、ポケモンカードに火がつき始めた時、カードゲームを経験したことのある多くの若者が参入し、普段はカードオタクしか寄りつかないようなカードショップに若いカップルが何組も訪れていて驚いた。

そして今、その客層が更に移り変わり、家族連れまで入店するようになっている。

ポケモンカードは現在、完全に大衆化し始めている。



大衆化が進むことで一気にそのコンテンツは陳腐になる。
まぁ根拠はないけど。
何となくそんな気がしているのは皆同じだろう。

映画やスポーツ、テレビ番組、アニメ作品、アイドルグループなど、
人気が出過ぎたことによって必要以上に多くの人が集まり、本来もっていた“そのコンテンツの良さ”が損なわれてしまう。
そのように感じた人は多いはずだ。

バンドをやっていた身としては、よく「売れたことにより初期の良さが無くなってしまったバンド」というような揶揄を耳にしたことがあった。
この感覚。


話をポケモンカードに戻す。

現在、大衆化の真っ只中にある。

若いカップルがカードショップに現れ出した頃はまだ健全だった。
恐らく彼氏の方はカードゲーム、ないしはポケモンのゲームをプレイしたことがあるのだろう。
その流れで彼女にポケモンカードを勧めている。

この時は“良い流れ”でポケモンカードゲームが広まっていた。
有識者がそのコンテンツの良いところ悪いところ手取り足取り伝えている段階だ。

一方で、最近はろくにポケモンのこともカードゲームのことも知らない親子連れがカードショップにやってきている気がする。
今までは「カードゲームなんてオタクの趣味」「ポケモン?ピカチュウなら知ってるけど」と言っていた世代が幼い子供を引き連れてカードショップに乗り込む。

流行に乗っかりたい
それだけだ。

ニュースで話題になっているし、子供はポケモンが好きだろうから我が子にも始めさせよう。ママ友の間でも話のネタになる。
概ねそう言ったところだろう。

数年前の
子供がポケモンカードをやり始め、それに付き合っていた旦那が子供以上にハマってしまい、仕方なく家族でカードショップの大会にやってきたお母さんたち
とは明らかに形相が異なってきている。

大衆化するとどうなるか。
そこには不当な金銭が発生する。
バブルと化したコンテンツは実態のない価値を生み始め、明らかに必要量を超えた需要が現れ始める。
それはすぐ転売ヤーに目を付けられ、正規のプレイヤーがまともにカードを集められない状態へと変化する。

本来、ポケモンカードゲームを楽しんでもらいたいとターゲットにしていた子供たちに間接的に被害が及ぶのは悲しいことだ。

また、カードは異常な価値を持ち始め、その存在もまた大衆化により広く知られていく。
確かに元々、一部のカードは異常な高値で取引されていた。
物によっては1枚で札束と換金されるほどに。
しかし、その存在を知るものはマニアと、そういったコンテンツに異様に詳しいバイヤーくらいであった。

現在、その資産的価値と取引される場所が大きく知れ渡り、どうなったか。

カードショップを狙う窃盗が激増した。

余談だが、この手の窃盗でマジック:ザ・ギャザリングのショップが狙われたという話をあまり聞かない。
それほどMTGは認知されていないと言うことなのか・・・


“人気が出る”というのはコンテンツにとって良い影響を及ぼすが、行きすぎた人気は度々負の側面を顕になる。
そのようなことをここ最近感じている。


詳しいことは全くわからないが、恐らく宗教なんかもそうだったのだろう。
キリストの弟子たちがキリスト教を広めている間は“良い広がり”を見せていたが、あるとき急にバズって手に負えないほど大衆化し始めた。
その結果、今となっては訳のわからない新興宗教が跋扈している。
最初期にいたキリストの弟子たちはこの現状に憂いているに違いない。

いつの時代もその良さを伝えたくて布教を続ける者はいる。
しかし、ある一定の知名度を越えるとコントロールが効かなくなり、「大衆化」する。
そうなると今度はそれまでとは異なったベクトルで加速し始める。
本来とは全く違う方向に。


「最近流行っているらしいから」「儲かるらしいから」
それ以外の、もっと中身を見てポケモンカードを楽しんでもらいたい。

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