見出し画像

立派なサンタになって帰ってこいよ

この長瀬まぐまさんのゾロメ日記シリーズを読んで、ヤバい、好きだ、憧れる!と思ったので私もそれっぽく最近の日記を書いてみるチャレンジ。形式を勝手に真似しちゃう。三毛田のそういうところ、かわいいよね。

某日

新居の準備のためにやらねばならぬことがあり天神に行ってきた。

妻とこどもたちは近所の友達一家と遊びに行くというので久しぶりに一人時間のある休日。このうれしさ、小さい子を持つ親ならわかってくれるだろう。もちろん家族との時間も夫婦だけで過ごす時間も大切ではあるが、同じくらい一人だけで過ごす時間が愛おしい。縦の糸はあなた横の糸は私。正当な理由で一人時間ができることを人はしあわせと呼びます〜と中島みゆきも歌っていたはずである。

午前中に用事をすませ、ランチの店を探して天神を歩く。天神は東京でいうとおそらく渋谷のような人の集まる街だが、私はあまり行かないので上京初日の若者みたいな挙動不審感である。今自分を若者に例えたが、実際には若者を200回くらい洗濯したようなくたびれ感のある35歳だ。まわりをおしゃれでキラキラした未来の橋本環奈がたくさん歩いているのがまぶしい。よれよれのおじさんには君たちの未来がまぶしすぎる。はやくどこかに避難せねばと思っていると、「スリランカカレー」と書かれたのぼりが目に止まりなんとなく店内に入ってしまった。

カレーなのにルーが黄色い。あとライスのまわりによくわからないものがたくさんある。気になってメニューを読むと、ライスまわりにあるのはパリップカリーとテルダーラとコラサンボルとポールサンボルとパパダムらしい。なるほど全然わからん。新種のポケモンか?しかしここで調べるのは野暮。知らないことを楽しむのがツウというものである(面倒くさい)。

カレーは複雑な味がしておいしかった。私の味覚が雑にできているのでじゃあどんな味かと言われると説明ができないが、なんとなくクセになる味で食べ進めていくとだんだん口がビリビリとしてくる。最後の一口は「もう嫌だ」と思いながら食べていた。

そして店を出た瞬間、お腹がぐるるるるるると鳴りはじめる。いつものやつだ。腹弱は謎の香辛料に弱い。トイレを探し、駅に行けば間違いないと思い天神駅の改札内に駆け込んだ。汚い話で申し訳ないが、うんこがいつもより黄色くてちょっと感動した。究極の2択によく出てくるカレー味のうんこかもしれない!と思ったがたしかめる勇気はない。改札に入ってしまったのでそのまま電車に乗り、一人時間は終了となったのだった。電車内でスリランカカレーまた食べたいなあと思った。

某日

妻が突然「ねえ、私のことどのくらい好き?」と聞いてきた。

断っておくがわが家は新婚ではなく、結婚10年目の夫婦である。お前たちは日常的にこんな甘々な会話をしとるのか!スキスキチュッチュなんか!と思われるかもしれないが、これはわが家でよくある大喜利みたいなものである。

私は「これは仕掛けてきたな」と瞬時に察知し、「そうだなあ。僕が目玉焼きだとしたら君は醤油のような存在かな」と返す。すると妻が「あなたソース派じゃない」とツッコんでくる。「僕がコーヒーだとしたら君はミルクのような存在だよ」と言うと「あなた朝はブラック派じゃない」とツッコんでくる。なかなか正解に辿り着けない。もっとこう、お互いがなくてはならない存在という関係性のものってなんだろう。

この日ずっとこれを考えていて、私がやっとたどり着いた答えが「僕がねるねるねるねの1の粉だとしたら、君はねるねるねるねの2の粉のような存在だよ」だった。これを言うと妻は「関係性はいいけどロマンチックではないよね」とのこと。きびしい。

某日

朝から妻が次女を幼稚園バスまで見送ると、そこで「ミャーミャー」と子猫の泣き声が聞こえたという。それからまわりを探すも子猫は見つからなかったが、午後に次女をお迎えに行った時もまた同じ鳴き声が聞こえてきた。

やはり諦めきれず妻と次女が探すと、鳴き声の出所は車のボンネットの中というのがわかった。このまま家主が気づかずにエンジンをかけてしまうと猫も車も危ない。妻はそのお宅のインターホンを鳴らして事情を話し、車のボンネットを開けてもらうことにした。

ボンネットを開けると、やはり中から小さい子猫が出てきた。茶トラのとても小さい子猫だった。が、その姿を見た瞬間に子猫はささっと隣の家の倉庫に逃げていってしまったという。そしてその子猫は数日たった今もまだその倉庫を拠点に生活をしている。

野良猫を保護した場合、自分で里親を探すか自分が飼うしかない。保護団体に相談しても受け付ける猫が多すぎて預かれないと言われることが多いという。このまま地域猫として飼ってもいいのか、うちで3匹目として引き取るのか。ぐぬぬぬぬ…ぐぬぬぬぬぬぬ…ぐぬぬぬぬ。三毛田心の俳句である。

某日

東京に住む大学時代の友人から電話があった。東京では定期的に会っていた仲だったので、「福岡に移住してどうよ〜」とかそんな感じの連絡かなと思っていたら、なんと彼がフィンランドに転勤になったという話だった。

ええ??突然すぎない??びっくり人事すぎるが、ラブストーリーと辞令は突然にくる。あとその電話を受けた時、私はちょうどスマホのキャリア変更の手続きをしていたので実は電話どころではなかった。電話も突然に、である。

あたふたしながら話を聞くと、彼は奥さんもこどもも連れて家族でフィンランドに行くことにもう決めたんだという。私は去年悩み抜いてやっと福岡に移住していい気になってたのに、彼はやることの規模がちがう。それを聞いた妻がなぜか完全にフィンランドに遊びに行くつもりになっているので、わが家はこれからフィンランド貯金をはじめようと思う。友よ、あっちは寒いだろうが立派なサンタクロースになって帰ってこいよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?