![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/120120703/rectangle_large_type_2_f53c0866491532657f3c2a38152c27ca.png?width=1200)
親子で「虫の命」を考えました
我が子に命の大切さを教えたい親にとって、虫は天敵です。
「虫の命」も大切にしていますか?
つい言葉に詰まります。
そんな「虫の命」から、命の大切さを感じ取っていく息子に、温かい気持ちになりました。
「虫の命」は矛盾がいっぱい!
俳人小林一茶の俳句に、次の句があります。
「やれ打つな 蝿が手をすり 足をする」
「蝿のような小さな存在でも、手や足をすり合わせて命乞いしているのに殺すなよ」という意味だとか。
蝿を見ながら息子にこの句を紹介した後、その蠅をハエ叩きで追いかけ回しました。
残念ながら、母は虫が好きではありません……
そして息子も、親と同じで虫が苦手です。
苦手というより、怖がっている様子。
小さな虫が部屋にいだけで、「虫がいる!虫がいる!とって!!」と大騒ぎしています。
それでも時々見せる、「虫の命」を思う行動や一言には、はっとさせられます。
お母さんの趣味と「虫の命」、どっちが大事?
コガネムシの幼虫とは?
![](https://assets.st-note.com/img/1698481856001-bQ4BDJlck0.jpg?width=1200)
コガネムシの幼虫は、カブトムシの幼虫に似ています。
ちょうど一回り小さくしたような姿です。
しかし、立派な害虫です。
野菜の根を食べ、成長を邪魔します。
大量発生すると、野菜はもちろん樹木をも枯らしてしまうほど。
小さいながら、手ごわい相手です。
わが家は、小さな家庭菜園といくつかの鉢で野菜を育てています。
その年、収穫の終わったきゅうりの鉢には、コガネムシの幼虫が山のようにいました。
数えてみると、一鉢になんと50匹以上!
次の野菜を作るためには、何とかして駆除したい!
農薬は使いたくないので、一匹一匹つぶすことにしました。
コガネムシの幼虫はかわいい?!
![](https://assets.st-note.com/img/1698503492669-q2BZVfNl9q.jpg?width=1200)
この年、幼稚園ではカブトムシの幼虫を育てていました。
毎日のお世話は子どもたちの役目です。
ここで問題となったのが、コガネムシの幼虫の見た目です。
そうです。
カブトムシの幼虫とよく似ているのです!
小さなカブトムシの幼虫のようにも見えます。
息子にとっては、毎日世話をしたかわいい相手のそっくりさん。
つぶされるコガネムシの幼虫に、息子は我慢できませんでした。
息子「なんでコガネムシの幼虫をそんなに殺すの?」
母 「だって、いたら野菜を全部食べられちゃうよ。
お母さん、大切に育てた野菜が枯れたら嫌だから。」
毎日、うちの野菜を食べている息子は、これで分かってくれると思いました。
しかし、息子の反論は続きます。
息子「お母さんは、趣味で野菜を育てているのでしょう?」
母 「でもその野菜を、毎日食べているでしょう?」
息子「だって、野菜はお母さんが育てなくてもスーパーで買えるよ!」
そして、ついに一言。
「お母さんの趣味とコガネムシの命、どっちが大切なの?」
はっとしました。
日頃、命は大切と教えているのに...…
大量の幼虫の死がいを前に、なんと答えていいか分かりませんでした。
虫は殺しても良い生き物。
そう、考えていたことに気付かされました。
野菜を作らなければ、生活に困る訳ではありません。
確かに趣味です。
趣味と「虫の命」をてんびんにかけると...…
何年もたった今でも、答えは出ていません。
なめくじに塩をかけてみたら...…
![](https://assets.st-note.com/img/1697297335576-TTfvvXkGI5.jpg?width=1200)
息子が2匹のなめくじに塩をかけ、なめくじを死なせてしまったことがありました。
なめくじと塩
畑の土から、なめくじが見つかりました。
なめくじに塩をかけると、小さくなって消えてしまうと聞いた息子。
家に飛び込んで、塩を手に持って出てきました。
そして、ワクワクしながら、2匹のなめくじに塩をかけました。
人間やなめくじを含む生き物は、多くの水を体の中に持っています。
大人は身体の50~65%、生まれたばかりの赤ちゃんは約75%が水です。
なめくじは、なんと90%が水なのです。
さらに、なめくじには人間のような皮膚がありません。
「半透膜」とよばれる薄い皮があるだけです。
そんななめくじに塩をかけると、何が起こるのでしょうか。
「半透膜」に塩がかかると、体の内側と外側を同じ濃度にしようとします。
そして、体の中の水が出て行ってしまうのです。
水が出てしまったなめくじは縮み、そのまま死んでしまうこともあります。
その後の行動と心の変化
塩をかけた息子は、その後、じっと観察していました。
初めのうちは、興味深そうに見ていましたが、段々と色が変わり、体が小さくなり、ゆっくりと動かなくなっていきます。
その様子を見るうちに、自分がこの2匹を死なせてしまうのだと気付いたようでした。
「動かなくなっちゃった。死んじゃうね。」
そういった後も、じっと見つめています。
自分が死なせてしまうから、その時までしっかり見ていることにしたそうです。
じっとなめくじを見ている背中から、時々鼻をすする音が聞こえました。
観察しているうちに、愛着がわいてきたなめくじたち。
土をかけてあげたり、ときどきやさしくつついたり、動くかどうか確認していました。
少しでも楽にしてあげたい。
そう思っているように見えました。
そんな時、もう一匹なめくじが見つかりました。
「もう塩はかけないよ。」
と話しながら、前のなめくじと一緒に、土の近くに移してあげていました。
矛盾を抱えて
「虫の命」を考えた時、「命の大切さ」はとても矛盾を抱えた問題に変わります。
私たちは、「命は大事」と教えながら、虫を気軽に殺します。
息子も虫が苦手なので、普段は気にしていません。
しかし、「虫の命」の大切さを突き付けられる出来事に、突然出会います。
矛盾のない行いをしたいと思います。
しかし、虫は嫌いなのです。
やはり、「虫の命」は矛盾だらけ。
これからも親子一緒に、向き合っていこうと思います。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?