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複雑性を再認識した日。

最近「悶々と考えちゃいますね〜」みたいな記事が続いた上に、2日間も更新をサボってしまいました。こうなるとどんどん思考が内向きになってしまって良くない!

というわけで、気を取り直して、長文、失礼します。

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今日は日曜日ということで、毎週訪れている学校の週末クラスにて、ちょっとした英語のテストを行ってみました。

この記事内で触れたのですが、私はいま、生徒の英語読解力向上のためのプログラムを始めようとしているところ。そのプレテストとして、彼らの実力を測りたかったんです。

中学1,2年生11人を対象に、10問の読解問題を10分で解いてもらいました。

(なお、教師向けのHPから、「彼らのレベルでも意図が通じるのはこれかな〜」なんて100題以上から問題を選定してテストを作成したのですが、それだけでも結構大変でした……。毎週授業を準備・実施している先生の苦労を身をもって感じる機会になりました)

結果は平均4/10点。点数としては事前に予想していたのと大差ありませんでした。(今度、通常の平日クラスの生徒にも同じテストを行い、点数を比較してみようと思っています。)

今後のプログラムを通じて、これがどれだけ伸びるかを見ていくことになります。

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採点していてかなり気付きが多かったのですが、その中でも特に気になった設問がありました。

10問の中に一つだけ、純粋な文章読解ではない「薬のラベルを読んで回答してね」形式の問題(以下画像)を混ぜたんです。

正解はb 出典:http://www.prepdog.org/7th/7th_basic_reading_3.htm

たった4行の注意書きだし、試しに解いてくれたインターン仲間のたかちゃんには「全体的に悩む設問が多かったけど、これは一番簡単だった」と言わしめた問題でした。(ちなみにたかちゃんは悩みながらも全問正解でした)

しかし蓋を開けてみると、なんとこちら正答率が3割を切っていたんです。さらに「なぜそれを選ぶ!?」と思ってしまう選択肢(d)を選んだ生徒が圧倒的に多くて……

かなり驚いてしまったし、考察しがいがあるなあと思いました。

国際協力が話題に挙がる時、しばしば「文字が読めない途上国の人たちは、誤った方法で薬を服用してしまうことがある」なんて例が挙げられますが、それと類似の状況を目の当たりにしてしまったのです。文字が読める彼らなのに、「英語力」「読解力」といった力が欠けていることによって……

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今回改めて思ったのは「彼らの英語力向上にアプローチしたい」と考えて試行錯誤しているとは言え、「どのような方法を用いればどのような能力が向上するか。また、どこに優先的にアタックするか」に関しては継続的な熟考が必要だよなあという、至極当たり前のことでした。

単純に文章の字面を追えることと、その内容を正確に読み取れることって違うし、そもそも読解の練習をする前に単語の勉強が必要かもしれません。

また、日本の中学生の英語学習方法にヒントがあるかもしれないし、最近PISA(国際学習到達度調査)の結果が出た後にも話題になっていたように、純粋な「読解力を上げるには」に注力した施策が有効かもしれない……

絶対解は無いからこそ、納得解を探求していきたいと思ったのでした。

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そしてさらに話は発展しまして。ここまでは英語力や読解力について書いてきましたが、生徒たちを取り巻く現状、課題はそれだけではありません。

さっき「中学1,2年生を対象に〜」と書きましたが、実はその中には私より年上の生徒や、はたまた14歳にして出産間近の生徒も在籍しています。多様なバックグラウンドを有する生徒を受け入れているのが、この週末クラスなのです。

こうした事実からも分かるように、家庭の経済事情であったり、早期妊娠であったり、はたまた被災によって生じた困難であったり、単純な学力不足以外にも、学校現場だけでは解決できない課題が様々に横たわっています。

一方で、同時に「学校現場内でできるかも知れないこと」が試され尽くしているか?というとまだまだ可能性はあるのであり、性教育であったりキャリア教育であったり、「やれる余地」みたいなものは、まだ多分に残されていると言えそうです。

ただ、もちろん先生方の稼働には限界があり、私達のようなNPOの立場としてもリソースは無限ではないわけで、そしてどんなことも「一気に」は試せないのであって……つまりは「選択と集中」が必要となります。

という訳で、インターン仲間のたかちゃんとディナー中に色々語り合ったこともきっかけで、「目の前に生徒という『人』がいることを忘れずに、複雑に絡み合った課題に対して真摯に取り組んでいこう」と改めて思ったのでした。

同じ学校で違う挑戦をしているたかちゃんのnote。
すごく考えさせられるのでぜひ読んでみてください

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そしてさらに蛇足的な話をしてしまうと、課題に対する唯一解がないことも難しさの一つではありますが、私個人の心理的な課題も看過できないところなんです。

「日々の仕事に子育て、そして学習を懸命に行っている生徒に対して、私がプロジェクトを行うことで改めて『できない』を突きつけてしまうのは、本当に正しいことなのだろうか……」なんて悩んでしまって。

「いやそれでも、それ以上に大きな『できる』を体験してもらうお手伝いをすることが、私にできることじゃないのか……」なんて、半ば強制的に納得させるのですが。

様々なプロジェクトを同時進行で動かしながら、「何からどのように挑むのが正解なんだろう……」なんて考えあぐねた末、いつも結局は「たった1年そこらしかいないインターンが『思考だけ』している暇なんて無いんだからとりあえず『試行』しなくては」という結論に帰ってきます。

e-Educationの学生インターンは教育のプロではないけれど、目の前の激務と奮闘している先生方の代わりに、そして先生方と一緒に、こうやってひたすら考えて、行動に移せるところに強みがあるはずだと思うんです。

時間は限られているけど、今できることをやって、そしてそのバトンを後に繋いでいけたらいいな、繋がなきゃいけないな。

そんなことを思った日曜日でした。

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