見出し画像

果ての風紀委員

 やんちゃな生徒に注意して回る風紀委員的な気質の女子が「小学校高学年→中学→高校」と進むにつれいなくなっていくのは、何故なのか。風紀委員はどこへ消えたのか。前々から疑問に思っていた。


 自分が正しい人間であると他人に知られる危険性を感覚的に理解するからだと思う。正しい人間に隣に立たれるのは、自分の愚劣さを指摘されているようで、人間誰しもどこか居心地が悪い。直接の追及を受けていないくともそうだろう。それを耳にした人間は誰もが「いつ自分の番が来てもおかしくはない」と精神をヒリつかせる。だから周りから反感を買う。
 風紀委員の追及が非の打ち所がない完璧な正義であれば、これは愚かな人間による悪逆ということで話が付くけれど、風紀委員も所詮はただの人で、正義なんていう大仰なものを振り回すだけの技量を持ち合わせてはいない。風紀委員本人だって自分とは別の風紀委員に隣に立たれれば、精神がヒリつくことを知るだろう。


 「ヒーローは期間限定で大人になると名乗るのが難しくなる」と衛宮切嗣は言っていたけれど、風紀委員の肩書はもっと早くに下ろすことになるのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?