Aアングル ~Moon~


目を覚ます
こんなにベットは広かったかな
手を伸ばしてもなにもない
ひんやりとしたシーツ
それでも、あなたの温もりを探してしまう

私が透明になったのか。
あなたの心と視線が
目の前の私をすり抜けてゆく。
ワタシ イナイ?

そう感じた瞬間、
シャツを羽織ろうとするあなたの背中に寂しさを感じ、思わず私は抱きついていた。

星が好きだったね
付き合ったあかつきに、
とっておきの丘を教えてくれたね
「綺麗なんだよな」
と無邪気に笑う君の横顔に惹かれていく。
…いつだって私の心のなかを映す空。
澄んだ空、より輝きを増していく私の笑顔。

焼きそば たこやき かき氷
あれもこれも楽しくて つい食べ過ぎた
帯がきつくて ちょっと背中を貸してもらったよ
笑う 笑う そんなときに
キラキラと舞い上がる光
夢みたいに静かに開く花に
ドーンと鳴って
現実になる花火
背中越しの暖かさと
顔を合わせなくても伝わるワクワク

慣れない下駄が痛くて歩けない
恥ずかしがる私をおんぶしてくれた
でもおんぶしてくれたら駅まで着いちゃうから
絆創膏買うとか、おなかすいたとか、みえすいた嘘をつく

終電逃したのは「わざとだよ」って言う前に
「わざとだよな」ってバレていた
困ったように怒ったように、それでも少し嬉しそうなあなたをおぼえている

楽しかった日々はするすると手の中をこぼれ落ち
冷たいベットの中で空を切る。

ねぇ、私まだあなたを探している。
今日もあなたの温もりを探している。


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