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【880/1096】小指の思い出

劇団夢の遊眠社の初期の名作に「小指の思い出」というのがある。さすがに自分は実際の舞台は観てないのだが、ビデオで繰り返し観た最初の舞台であった。舞台はテレビで見たら別物だから意味ないと思っていたけど、「小指の思い出」はそんなことなかった。2014年に野田さんの演出ではなく藤田貴大さんの演出で30年ぶりに再演されたのだが、子どもを産んだばかりでそれも観に行けなかった。小指の思い出は映像でのみ縁がある芝居なのだろう。

なぜ突然に小指の思い出?と言う感じであるが、子どもが小指を骨折したからである。
ドッジボール。ああ、ドッジボール。
もう一人の子が2年前くらいに小指をやったのも、ドッジボールであった。

で、小指の思い出を思い出したわけ。
当たり屋の話から始まる小指の思い出。
遊眠社のDVDになっているので、観たい方はどうぞ。↓

まあ、小指の思い出はこの辺で。

「骨、折れたかも」と言って帰ってきて、まさかーと思ったらほんとに折れていた。
なんならあらぬ方向に曲がっていて、それをもとに直すという。えー、それ、痛いやつじゃん?と内心ハラハラしていたが、表情も変えず、声も出さずに、じっとしていたという。
我が子ながら驚愕である。
自分はすぐに大声あげるので。痛みという刺激には、まったく脆弱なので、声もあげるし、すぐ泣く。
しかし、思い起こせば、この人はこういうときに泣かない。
2歳の時も泣かなかったなと思い出した。骨折ではないが。
「痛いので、お子さんが動かないように、お母さんしっかり押さえてて」と言われたけど、押さえなくてもじっとしていた。(さすがに2歳の時は終わった後には泣いた)

痛くなかったの?と聞いたら、「痛かったよ」と普通の顔で言われた。まじ、すごすぎる。
しかし、今月予定しているお出かけは、この手のまま(骨折で添え木して固定されたまま)であると聞いたら、ほろりと泣き出した。
そっちのほうが耐えられない悲しみだったのだね・・・。
そうか。
小指だから大丈夫だよ、と思ったけど、その悲しさは相当であろうと思って口に出さなかった。
そういうときは、へんな慰めの言葉など言わないほうがいいのだ。

平気な顔して、声もあげないで痛みをやりすごせるのは、すごいことだよ、とそのあと子どもと話しながら帰る。
ママはできないね、今まで出来たことがないね、と自分の体験談を話すと、「ふーん」と聞いていたが、たぶん、嬉しがっていた。自分のしたことを母親に認められている、という感じの。
こういうやり取りができるのは大事だなと思う。
一見すると何を考えているかわからない、という人は、たくさんの情報を言葉以外のもので発信している。

早く小指がなおりますように。

では、また。

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