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自分を大切にすると見えてきたもの

その日いつもより遅めの昼食をとった私。
夏から始まった歯列矯正。
なので食後には毎回2種類の歯ブラシを使って念入りに歯磨きをする。

やっぱり痛い。

人差し指を入れて上の奥歯に添わせてみる。
どうも奥歯に掛かるワイヤーが僅かながら飛び出していて、それが頬の内側に当たっている。

「違和感があればいつでも言ってくださいね」

私の通っている歯科医院は先生を始めスタッフ全員女性で、診療が終わると皆さん口々に優しく声を掛けてくれる。

これも十分違和感になるよね?
午後から用事を済ませたら診てもらおう。
そう思った私は診察券を取り出した。

ガーン(T-T)
午後から休診どころかその日は朝から休診の日だった。

仕方ない明日まで我慢するか〜
と諦めかけたところ…。
あれ?電話番号の横にあるこのQRコードは何?

もう病院へは何度も通っているけれど、私は一度もこのQRコードについて説明を聞いた覚えがない。
でも、診察券に載ってることだしちょっと覗いてみよう。

私はスマホを取り出すとカメラをQRコードに合わせた。
すると歯科医院のHPに繋がった。
その最後に、LINEのお友達登録をおすすめします。
との案内。

いやいや聞いてないよ。
LINEって何?
そんなのもあるの?

しかも「LINEで連絡いただければ電話よりも早く対応できます」
とまで説明されている。

これは便利だ〜。
はいはい。
是非ともお友達登録。
こちらこそよろしくお願いしますよ。

私は早速登録のボタンを押した。

出てきたのは先生の似顔絵のアイコン。
次はトーク画面に移る。

頬の内側にワイヤーの端が当たっていること。
明日出来れば早めの診察をお願いしたいこと。


を書くと私は送信ボタンを押した。

送信した直後に既読がついた。

まぁ公式はこうして自動的に既読がつくのでしょうね。
と思ったら、速攻で返事が来た。
えっ?はやっ!

事情はわかりました。
今院長は病院のそばにおります。
今からでも大丈夫です。

えーっ!
何?このサービス?!

私は驚いた。

今日休診日なのに〜。
そして私も今から出かけるのに。

ありがとうございます。
とこちらも早々に返事を送り、一応用事が済んで病院に行けそうな時間を伝えた。

その時間なら無理です。
診察は明日になります。
とほぼ断られることを頭に置いて…。
(こう言うところに昔ながらのネガティブさが覗く私…)

するとまたすぐに返事。

では、その時間にお待ちしております。
お気をつけていらしてください。


ひゃー!
今日休みなのに?
私のためだけに?


私は急いで用事を済ませるとLINEで伝えた時間ぴったりに病院へ向かった。

「本日休診」
の札が掛かるドアの向こうでは白衣姿の先生が見える。
私はそぉ〜っとドアを開けると、先生の後ろ姿に向かって遠慮がちに声をかけた。

すいませ〜ん。
おやすみのところ〜。
はまのです〜。


すると先生は
くるりと振り
は〜い。
お待ちしてましたよ。

私だけの診療の始まりだ。

早速診察台に上がる私。
口を開けると、ここ?これ?
どこが当たってる?
と先生は患部を確かめる為、私の口の中を指でまさぐった。

ようやくワイヤーの端を見つけた。
それはほんの1ミリも満たないくらい。

痛かったでしょう?
ワイヤーの端、切りますね。
処置はあっけなく終わった。

再び私も自分の指を突っ込んで確認する。
さっきまでザリザリと指先に引っかかっていたワイヤーは全く無くなっていた。
私は大きくうなずきながら診察台から降りた。

ふと見ると先生の白衣の下は長めのスカート。
いつもは紺のパンツ姿なのに。

完全にプライベートなお休みの日。
こうして駆けつけて下さったことが、この服装からも見てわかる。

「また何かあればすぐに連絡下さいね」

嫌な顔ひとつせず、いつものようにそう言って私を見送って下さった。

本当にありがたかった。


それにしても、たまたま興味本位で読み込んだQRコード。
出てきたLINEに躊躇ためらうことなく友達登録。
LINEを送信。
すぐに返信。
時間が決定。
その日に処置完了。

それらの行動は無駄がなく、全て流れるようだった。

私はnoteを始めたことがきっかけで、自分のことを大切にしようと思い始めた。
そのタイミングで出会ったのがこの歯科医院。

そこで先生から歯列矯正の話しをされる。
それに対して思い切って挑戦することを選んだ。

今は日々不自由なことは多いが、全ては綺麗な歯並びときちんとした噛み合わせの為。
希望があるから苦にならない。

そして、違和感があれば遠慮なく言える環境までも整えられた。

私は今まで自分のことを随分とないがしろにし続けた。
私さえ我慢すれば周りの人は笑顔でうまく回る。
そう思い込んでいて、自己犠牲の行動ばかりを自ら選んでいた。

そう。
誰も私に指示はしていなかった。
全て自分で選んでいた。

でも今は違う。

私のここが違和感です。
ここをもう少し快適にして貰えませんか?
それは自分を大切にしたり自分の心地良さを優先させる行為だ。
幸いにしてその要求は、ほぼ満たされることもわかった。

どこが違和感ですか?
痛かったですね。
この治療法ではどうですか?
痛みは前より減りましたか?

毎回治療に関わるスタッフさんは、どなたもとても私を大切にしてくれる。

それは全て自分の思いが目の前に現れているということ。


私が矯正することを選んだ時点で、私を大切にしてくれる先生とスタッフさんが目の前に現れたと言うこと。

自分が変われば現実が変わる。

どれだけ私はこの言葉を聞いたり読んだりしたのだろう。

まるで歯列矯正がその事実を私に体感させてくれているようだ。

これからも楽しみながら治療を進めて行くつもりだ。

こんなにも私のことを思って動いてくれる人がこの世にいるなんて…。
私はようやく知ることができた。

もうこれからは
自分を心地よくするにはどっちが良いのか?
きちんと見極め選んで行きたい。

そしてその選ぶ力を
私はもう持っているのだ。

幸せをありがとう。
読んでくれてありがとう。
出会えたご縁に感謝します。

最後まで読んで下さってありがとうございました🍀私の思いを私なりの言葉で綴りました。あなたにこの思いが届いたなら、とても嬉しいです😊あなたからのサポートは、愛あるnoteの世界に循環させていただきます💕