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N先生が起こしてくれた奇跡

私がN先生と出会ったきっかけは1枚のカルチャーセンターの広告。
パーソナルカラーの講座だった。
「10歳若返る」そう書かれたコピーが私の心を鷲掴みにした。
受付で見学を申し込むとすぐに教室へ案内された。
後ろのドアをそっと開けた途端
ここは私の居場所だ。
と直感が湧き上がった。

N先生は私より少し年下の華やかで美しい女性だった。
でも広告のコピーのように10歳以上年下なんじゃないか?と思うほど眩しいオーラで包まれていた。

翌月からちょうど新年度。
私はこの講座を受講する!
と即決した。


期間は半年間だったが、私は先生とご縁が切れるのが嫌で結局パーソナルカラーの講座を始め、色彩心理、配色講座など先生の授業を片っ端から何度も受けまくった。

先生が教えてくれたカラーの世界はとても魅力的だった。
カラーの世界は私の人生を好転させた。
いや先生との「出会い」それこそが私の人生を好転させた。

そんなN先生との交流は私が引っ越すまで8年間続いた。

引越しが決まり私は「一度お別れのご挨拶をしたい」と申し出た。
しかし、私が日々の忙しさで体調を壊してしまい、会えないままその土地を離れることとなった。
電話口で先生は「また会えるから。今回はご自身の体調を優先して」と思いやり溢れる言葉を私に送って下さった。


そして新しい土地で迎えた最初の夏。
私のスマホがふいに鳴った。
画面にはN先生の名前。
出ると聞き覚えのない男性の声だった。

「妻は先日亡くなりました」

声の主は旦那さんだった。


死因については詳しく話して下さらなかった。
私も聞くことが出来なかった。
ただ短い会話の中で旦那さんは私のことを「バイタリティ溢れる人だといつも妻は話していました」と涙ながらに教えて下さった。

どんな会話をしたのか?
実はあまりよく思い出せない。
ただ「バイタリティ溢れる人」の言葉だけが心に残る電話だった。

その日以来365日の中で先生が亡くなった日は私にとって特別な1日となった。
毎年命日になると空を仰いで手を合わせている。

季節は巡り、今年も先生の命日がやって来た。

出勤前…

(先生?もし今も私のそばにいらしたなら、私にわかるように何か奇跡を起こしてくれませんか?)

私は心の中で先生にこんなお願いをしてみた。

ちなみに先生の名前は数字で表すことが出来る。
例えば「ななこ」であれば「775」のような…。

だから今日はきっと

道行く車のナンバーで先生の名前を表す番号に出会えるはず。

そう勝手に決めつけて、仕事の間はいつも以上に行き交う車のナンバーを意識していた。
しかし、これはあくまでも私が決めたこと。
該当する番号とは全く出会わないまま終業時間がやって来た。

帰り道、私は商業施設に立ち寄った。
今日に限って駐車場はやけに車が多い。
私の車は立体駐車場を上へ上へとぐるぐる押し上げられ、この暑い中屋根のない屋上エリアでやっと車を停めることが出来た。

さて、ここを出ると家までは約5分。
もはやタイムアウトが目前だ。

N先生の名前の番号とは出会えるんだろうか…。
もう奇跡は無いんだろうか…。

買い物も終わり車の鍵を手に駐車場へ。
さぁ、ここを開けると屋上エリア。
と、重い鉄のドアを開けた途端…。

真正面で私を待ち受けていたのは

美しい虹

だった。

建物などに全く隠されることなく完璧にかかる大きな大きな虹。


あぁ…先生だ。
先生が私に会いに来てくれた…。


私のお願いにN先生は虹という奇跡を見せてくれた。

この瞬間、屋上の駐車場は大きな虹と涙目の私が静かに向き合う以外、何も存在していなかった。


後になって考えた。
屋上に車を停めて無ければこんな大きな虹と出会えてただろうか?
全ては空の上にいるN先生が導いてくれたのかな。
きっとそうに違いない。
そう思うと嬉しくってしょうがなかった。

かつて色彩心理の勉強中には家族のことでいろんな悩みをN先生に打ち明けていた。
そんな日からもうかれこれ15年以上が経とうとしている。

離れていても心は繋がっています。

これは引越し後、N先生が私にくれた年賀状に書かれていた言葉。
そしてこの年賀状が先生から届いた最後の年賀状だった。


いつも私を励まし、温かく応援してくれていた優しいN先生。
今の私を見て空の上で少しは安心してくれてるといいな。
私はそんなことを思った。




読んでくれてありがとう。
しあわせをありがとう。
出会えたご縁に感謝します。



最後まで読んで下さってありがとうございました🍀私の思いを私なりの言葉で綴りました。あなたにこの思いが届いたなら、とても嬉しいです😊あなたからのサポートは、愛あるnoteの世界に循環させていただきます💕