映画のはなし:デ・ニーロが一番好きな出演作?『ミッドナイト・ラン』
ロバート・デ・ニーロは、過去に日本の報道番組に出演した時に「一番好きな主演作は?」と聞かれて、『ミッドナイト・ラン』と答えたらしい。
私も大好き。
淀川長治さんも、日曜洋画劇場の解説で「腰が抜けるほどおもしろい」とおっしゃってました。
もちろんデ・ニーロ作品は、『ゴッドファーザー』も『ディア・ハンター』も『グッドフェローズ』も大好きなんですけど。『マイ・インターン』や『ミート・ザ・ペアレンツ』、『レナードの朝』も大好きです。まぁデ・ニーロ作品は書き出したらキリがないか。
そんななかでも1988年制作の『ミッドナイト・ラン』は、デ・ニーロ作品でも殿堂入りレベルで好きな、アクション・コメディ。デ・ニーロの素晴らしさって、コメディが最高潮に伝わるんじゃないかとすら思う。
この作品、なんかもうストーリー云々……というよりも、
賞金稼ぎ役のロバート・デ・ニーロ&無実の罪で捕まったチャールズ・グローディンが、アメリカを横断しながらFBIやマフィアから逃げる
↓
ドタバタ逃亡劇のなかでふたりの間に生まれる確固たる絆
↓
ラストシーンがめちゃくちゃ渋くていい!マジでいい。
と説明するのが一番いいのではないかと思っています。
というのも、デ・ニーロは「賞金稼ぎ」だけど、犯罪者を警察に引き渡す賞金稼ぎではなかったりして、ちょっとややこしいんですよね。なので、もうストーリーラインはぶっちぎってもいいんじゃないかと。
ちなみにチャールズ・グローディンはセント・バーナード犬映画『ベートーベン』のお父さん役の人です。
「本作をひと言で説明せよ!」と言われたら、「『ルパン3世』のいいとこどり映画」と、答えるかもしれない。だいぶ乱暴ですけど。
「あ~ばよ、とっつぁ~ん」
「まぁてルパァ~ン!」
を繰り返しながら、デ・ニーロとグローディンがロスからニューヨークまで逃げるわけです。もちろん、途中でウン十台のパトカーが1列になってふたりが乗る車を追いかけたり、そこにヘリや飛行機も登場しての大捕り物。で、最後に『カリオストロの城』レベルの超絶渋い名シーンがくる。
テンポのいいアクション・コメディなので、吹替で観るのもおすすめ。デ・ニーロの池田勝さんとグローディンの羽佐間道夫さんの吹替は圧巻で、「●●洋画劇場」黄金期の雰囲気を堪能できます。
「●●洋画劇場」の頃の吹替映画って、今の吹替映画とはまたちょっと違う魅力があるんですよね。
どちらがいい、悪い、というベクトルではなくて、今の吹替って「素晴らしく仕上がった映画をそのまま日本語で観られるよ」という感じが強い(本国もそういった意図があるんだと思う)。●●洋画劇場時代の吹替は、「どうやってこの映画を日本語で面白くできるか」という雰囲気が感じられる。
うまく表現できないんですけど、脚本のセリフ回しや声優さんのテンションなどなど、作品全体からそんな熱気を感じる。
で、「吹替映画」じゃなくて、ロバート・デ・ニーロとチャールズ・グローディンによる、おじさんふたりの珍逃走劇『ミッドナイト・ラン』ですよ。
安直に「面白いアクション・コメディ」ということしか書いてないのですが、とにかく観てほしいの!!!
だって本当に面白いから!!!!
「娯楽映画」を体現しているような、本当に素晴らしい作品なのです。
水野晴郎さんの気持ちが本当によくわかる。
「いやぁ、映画って本当にいいもんですねぇ」
ちなみにラストシーンで、今はなき1,000ドル札が出てきます。
昔は10,000ドル札もあったみたいだけど、私には縁がなさ過ぎてマジで存在意義がわかんない(映画関係ない話で終わっちゃった)。
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