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旅トラブル:友人と長距離列車ではぐれた日本人、イタリア女性陣に優しくされる

旅友ちゃんとはじめての二人旅は、ユーレイルパス(青春18切符の特急版みたいなの)を使い、ローマ~フィレンツェ~ヴェネチア~ミラノを2週間ほど巡った旅。バックパックを背負って、往復フライトだけを予約したミニミニ放浪旅でした。そして私は数回の海外旅行経験はあるけど、まだまだまだまだ旅に不慣れな若かりし頃。

朝早くヴェネチアからミラノに移動する長距離列車に乗り込み、出発まで少し時間があったので、旅友ちゃんはコンパートメントで荷物番、私が食料買い出し係でホームまで行くことに。
慣れないイタリア語で無事にサンドイッチやお菓子を買い電車に戻ったら、コンパートメントに旅友ちゃんの姿が見当たらない。

あれ、体の大きな人たちしかいないぞ……?
私、号車間違えた??
あ、団体さんが来たから場所譲ったかな??

とりあえずほかの車両も確認しようと列車内を歩いていたら、動き出す列車。まぁでもお互い乗ってれば問題ないしね、ともう一度車内を確認するも友人発見できず……。念のため2往復しても発見できず。

まさかこれはガチではぐれたパターンか!?と焦りはじめた私、とりあえず近くの車掌さんを捕まえて、超絶つたない英語で聞いてみる。

「友人がいないから探してるんだけど。日本人で、大きな荷物2つ持った女の子見なかった?」
「あぁ、その子ならさっき降りたよ」

単語を並べただけレベルの英語で訴えた私に対して、平然と言い放つ車掌さん(推定40歳・女性)。

「出発前に降りたの見たし」
「は?」
「日本人でブルネットの子でしょ。降りてたわ」
「いやいやいや!ミラノ行くために一緒に電車乗ったの。降りたのは別人だと思う!」
「いや降りた」
「そんなことない!」
「…………電話貸すから携帯に電話してみれば?」
「わし、ツーリストでっせ。携帯なんて持ってるわけあるかい(国際ローミングなんて富裕層しか使えない時代でした)」
「ハァァァ~(盛大にめんどくさそうなため息)。とりあえず、お前はこのままミラノまで行け」

そう言って私の切符を取り上げると、「着いてきなさい」と一言。
もしや車掌仲間に聞いてくれる?とほのかな希望を持って着いて行ったら、イタリアの女性陣でぎゅうぎゅうのコンパートメントに連れていかれた。

「この日本人、友人とはぐれたんだって。ミラノまで行くらしいからちょっと席空けてあげて(妄想)」的なことを伝えくれたんでしょう。

ひとりのおばちゃんが席を譲ってくれて(自分は通路の簡易椅子に移動してくれた。本当に申し訳ない……)、
ひとりで乗ってたお姉さんはチョコレートをくれて、
お隣のおばあちゃんは「新聞読むかい?(超意訳)」と新聞をくれた。

ごめん。イタリア語まっっっったく読めんわ……。
でも気持ちは超うれしいよ。ありがとう。
みんな、急に登場して気を使わせてしまって申し訳ないね。

ここまできて「ガチではぐれたな」と現実を受け止めて若干は焦ったものの、「もうミラノ行くしかないもんね。お互いパスポートと搭乗券は自分で持ってるし、最悪空港で会えるな」と開き直ったとたん、めっちゃお腹が空いた私。
ホームで買ったサンドイッチもとりあえず自分の分だけ食べよ、とほおばり、もらったチョコを食べたら、お腹いっぱいで今度は睡魔に襲われる……。

話せる人いないしな~、ミラノまでまだ時間あるしな~……と思っていたらいつの間にか熟睡していたらしい。
向かいのお姉さんに「次ミラノだよ」と起こしてもらいました。

もうなんか、皆さんに気使っていただいたのに、食って寝て起こしてもらって、なんかホントにすいません……。

ひとり寂しくミラノのホームに降りて、とりあえず次の電車まで待ってみるかな、と到着掲示板を見上げたその時。

「いた!!!!!!」

旅友ちゃんは旅友ちゃんで私が乗り遅れたと思っていたらしく(そらそうだ)、同じく次の電車まで待とうと、到着掲示板を確認しに来ていた。

会えてよかったーーーーー!!!!(感動の再会)

ホームのベンチで旅友ちゃん分のサンドイッチを渡し、この数時間どんな状況だったかをお互いに報告。
実は旅友ちゃんはコンパートメントではおばちゃんたちの奥にひっそり一人で座っていたらしい。
「いや、あれだけ押し込められたら見つけられない」というレベルでぎゅうぎゅうだったらしい……。

私のほうが快適だったな、こりゃ。

ちなみに数年後、別の友人との旅行でミラノ駅に行った旅友ちゃん、

「あの時は感じなかったけど、この大きな駅でよく会えたなって思ったよ」

としみじみ言っていました。
いざという時の勘が同調するって、ホント心強いわ。


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