SOS
フランスで出てくる朝ごはんは、パンやバケットにジャムやヌテラ、はちみつなことが多い。こちらの人は甘党なのだろうか。
今日は休暇の日にする。3日分の服を持ってコインランドリーに行き洗濯をする。
フランス語が読めないので、近くにいる人に機械の使い方を教えてもらう。
次に入って来たおばさんは、フランス語ができないらしく私に使い方を聞く。
どうしても自分の洗濯が終わってドライヤーを使ってみるまで、不安だからか待って欲しいとお願いされる。
わたしも特に急いでいないので、付き合う。
ナイジェリアから友達を訪ねて来たのだそうだ。ドイツから自転車できたと話したら、ドイツに訪ねてきたいと言われて少し驚く。別れ際に、アルコールの入っていないドリンクをくれた。
ホステルに戻るとホステルは閉まっていたが、(コロナの影響で、営業時間に変更があるらしい)たまたま出てきた、そこで働く人にお願いしたら、洗濯物を建物のなかに置かせてくれた。
今日は、すべてのことがパズルがはまるように動いている気がする。
5kmほど離れたところにある、花の綺麗なワインの街を訪れる。
ワイン畑が見えてきて、その向こうにオレンジ色ののどかな屋根と深い緑の丘が見える。まるで絵本の世界のようだ。
ジブリやディズニーに出てきそうなその街は、カラフルで木の枠のある家が並んでいて、ところどころに花が組み込まれている。
写真を撮ったりワインを楽しむ人で賑わうその街で、写真を撮ることに夢中になって歩き回っていたら、疲れてしまった。
ふと、自分は何がしたいのか(写真を撮りたいのか何か食べたいのかワインが飲みたいのかお土産が買いたいのか、それとも本を読んだり日記を書いたりしたいのか)わからなくなって、街をでてワイン畑の脇に座り込んで、涙があふれた。
わたしは迷子になった。
どうしてここにいる?何のためにここまで来た?
持っていた村上春樹さんの旅エッセイを開くと、旅にトラブルはつきものだと書いてある。
「不確実な未来に直面している傷つきやすい自我」
という実に的を得た表現。
知り合いにおすすめのワイナリーを教えてもらって、ワインを一本だけ買う。試飲させてくれ売ってくれたおじさんは、とても辛そうな顔をしていた。
ホステルにもどって、窓をあけてしばらく横になってから、友達に電話をする。
話を聞いてくれて、応援してくれた。少し落ち込んで離れていた心が、自分に戻ってきた。
人と関わることで、その関係性を通して、初めて自分の輪郭を確認できるのかなと思う。
ひとりでいることは好きだけれど、ひとりで自分を見つけることはできない。
気分が晴れて、お腹も空いてきたので、おすすめしてもらったレストランに自転車で向かう。
困ったこと、わからないことは素直に誰かに聞くことで、また周りとの波長が合ってくる。
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今日も平和で、癒しのある一日を。
あなたはあなたらしく、わたしはわたしらしく。