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またいつかなんて言わないで。やりたいことはやっておいた方がいい。

事実は小説よりも奇なり。長く生きているうちには実に様々な出来事があり、それは想像を超える不思議な縁も多々あるものだ。

去年の8月、snsで仲良くしてくださっていたフォロワーさんが突然消えた。snsを突然やめる人はたくさんいるし、休んでいるのかなとも思ったが、どうも様子がおかしい。その人は毎日よく投稿される方で、もし投稿できないくらい忙しい時は低浮上ですと書くタイプ。観光アンバサダーというのをやっているようで、突然やめるような人ではない。
DMを送ろうか迷ったが、しばらく待ってみようと、3日経ち、1週間経っても表れない。これはやっぱり変だとDMしてみた。返信はなかった。
フォロワーさんで仲良くしてると言っても、プライベートのことはほとんど知らない。投稿内容から、私より少し上(おそらく50代後半?)、お子さんがいるらしい、自分で料理しているようだ、ホテルマンだという事は知っている。
私の母が亡くなった時もDMで励ましてくださり、自分の実母も義理の母も最近亡くなったばかりだという話をされたので、奥さんもちゃんといらっしゃる様子。別居なのか…と邪推を打ち消しながら、良きフォロワー、良い仲間として、お付き合いしていた。
リアルだと既婚者同士の友情は難しいと思うが、私的にはsnsでは異性だろうが既婚者だろうが、友人になり得ると思っている。
自分が海外にいるからなのかもしれないが、そう簡単に会えないだろうし、相手の顔も知らないし、既婚者同士なら尚更気をつけているはずだから、異性でも変な関係にはなりにくい。
さて、話が逸れたが、結局、三ヶ月くらい経ってから、ご家族と思われる方の投稿で、彼は亡くなってしまったというのがわかった。亡くなったのは、彼の最後の投稿から三日後だった。
やはりそうだったのかと重い気持ちになった。元々持病があったのか、突然だったのか。毎日すごく忙しそうだったので、過労死だったんじゃないかと思うのだが、当然、そんなことを確認する術はない。DMを送っても、ご家族はきっと困惑されるだろう。
彼には何度も励まされた。次男が日本に行ってしまって落ち込んでいる時、「いつか私に会いに来てください。それを生き甲斐にするのはどうですか」と言われ、会ったこともない私にそこまで親近感を抱いてくれているのかと感動した。
ホテル勤務で早朝から夜遅くまで勤務されているようで、自営で朝と夜の仕事が忙しい私と勤務時間帯がよく似ていた。「同僚のようだ」「きっと私たちはソウルメイトですね」と声をかけてくれた。
ソウルメイトという言葉に一瞬ドキッとしたが、男女問わず使えるようで、純粋に「魂の友」という意味で言ってくれたのだと思う。嬉しかった。
snsで仲良くしてくださるフォロワーさんにはいつか会ってみたい人が何人かいるが、きっとこの人とは絶対会うだろうと思い込んでいた。
いつも投稿される駅前の風景は、私にとって心の故郷のような場所となっていた。
なのに、その日を待たずに彼はこの世を去ってしまった。さよならも言わず。
出会いも別れもなかなか思い通りにはいかないのだなとしみじみ感じた。そして、今世との別れは、いつか私にも突然訪れるのかと思うと、怖くなってきた。
母にも最期は会えずじまいだった。夫の両親は80代だが、すでにどちらも脳梗塞で身体が不自由で、介護が必要な状況だ。歳をとってから時間があっても、意味がないのだ。
私ももう50を超えた。健康で自由にあちこち行けるのも、あと10年、20年あるかないか。体力も気力も年々衰えていく。特に元々出不精で、ここ数年は仕事優先で出かけるチャンスもあまりなかったから、ますます出かけるのが億劫に思える。でも、それではいけない。
今やりたいこと、できることは、一日でも早くやっておきたい。行きたいところには行って、会いたい人に会っておきたい。後悔しないように。

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