家を建てる①
家を建てるきっかけと土地の確保まで
以前、住環境について少し書いた。
広さとか採光とかを書いたのだけれど、家を建てたときのことをそういえば書いてなかったなと思ったので、それをまとめてみることにした。
我が家が「家」を必要としたのは、子どものためだった。昼夜問わずよく走り、大きな声で奇声をあげる子どもには集合住宅での生活はきつい。
少しずつ大きくなるにつれ、「静かにしなさい」と叱ることが増え、時には車で外に連れ出さなくてはならない状況になっていった。それで一軒家に住むことにしたのだ。
「家」は必要だったけど、中古でも賃貸でもよかったので、色々と探した。
人が自分のために建てた家を、そこに住まなくなったから、売りにまたは賃貸に出されている。もしくは建売などの物件。
それは見ず知らずの他人さんのライフスタイルの凝縮で、自分たちのライフスタイルに合うはずもなかった。
どうせいずれは数千万のお金を使うのなら、自分たちのライフスタイルに合った家を作ろうじゃないかという話になり、注文住宅を建てることになった。
最初に土地を探し購入する。
旦那さんの会社があるこの土地に長く住むだろうし、変化の苦手な子どもに転居を繰り返させるのは忍びない。
永住するつもりで災害に強い土地を探した。まずは住みたい市のハザードマップを入手する。水害と縁のない、地盤がしっかりしていて、市内でも地震の影響を受けにくいとされている山の上に決めた。
山の上は坂道が多くて買い物などには不便だが、この辺りは田舎なので、平地でも車は必需品だ。車に乗れないようになったら、スーパーが運行している「お買い物バス」を使えばよいし、米や水などの重いものは生協やネットで購入すれば問題はない。
標高450mを超えるがいっぱしの住宅地なので、小学校も徒歩圏内にある。中学生になるとバス登校になるのだが、うちの子どもは特別支援学校へ行くだろうという予測もたっていたので、そこにも問題はない。
そして、驚くほど安い。車一台分くらいの金額で1区画(60坪)が購入できる。さすが田舎。そしてそのときに「転売は無理」ということも悟った。
そもそも、この住宅地が造成されたのはバブル期で、私鉄の特急も停まる駅までバス一本。大阪まで30分で通勤も可能とかいう売込みで造られた。団塊世代の人たちを中心に、投機目的やセカンドライフ用に販売されたという。
各区画前の道路は6m確保されているし、舗装も定期的に整備され、基本的には普通の宅地と変わりない。住んでる人は、造成当時に購入した中高年か、安さで選んだ若い世代。それなりにバランスがとれている。
別荘地が近くに広がり、ゴルフ場の入り口が住宅地内にある。適度に田舎で適度に都会に近いという、今となっては微妙な立地だ。
バブル崩壊後は、どんどん寂れていってるという感じがある。投機目的で購入された土地は暴落し、売るに売れない。
固定資産税だけがかかる厄介な資産を処分したい人たちは損切りのために叩き売りをする。また、所有者が亡くなり遺族が叩き売ることも。それでどんどん価格が下がっていた。一坪6万なんて雑木林並みだ。
そんな土地だから、もしかしたら競売に出てるんじゃないかと探してみたら、やっぱりあった。
公園の正面に位置するそれを購入できたが、小学校からの距離が1㎞ほどあったので、住むことを諦め転売した。ここで100万ほど利益が出たので、それで私専用の軽自動車が買えた。
南向きまたは東南角地、大きな道路に面していないこと、接する区画が更地であること(近所迷惑をかけないために)、小学校から500m以内。
私たちに必要な条件はけっこう難しく、なかなか売りに出なかった。
そこで、先にハウスメーカーを決めることにした。家を建てるのには基礎を組んでから半年はかかる。注文住宅だとモノによっては1年かかることもある。翌年の保育園入園に間に合わせたかった私たちには時間もなかった。
ハウスメーカーというのはすごい。「注文住宅を建てたいのだけれど、希望の土地がない」と、何社かにいうと「任せてください!」とあっという間にそれぞれ探してきたのだ。驚きだった。
あれだけ探して見つけられなかった土地が、1週間ほどで十数件出てきた。どれも希望に合うものだったが、公園の近くとか、家の前に住宅が建つ可能性がない(公共の土地)という理由で、今住んでいる土地を購入した。同時にこの土地を探してきたハウスメーカーと家を建てる契約をすることになった。
この土地のもとの所有者は大阪在住で、やはりバブル期に投機目的で購入したのだが失敗。ハウスメーカーが登記簿閲覧で探しだし交渉。ハウスメーカーは売買の仲介せず、個人売買となったので、不動産屋さんの物件より手数料の分安くなった。
ハウスメーカーって家を建てるだけじゃなく、こんなことまでやるんだと感心したものだ。
おかげで、家の周囲は更地、前には6m道路を挟んで市の保有地、二車線の幹線道路から一つ入っただけという車は入れやすく、出しやすいという南向きの土地。10mほどのところに少し大きな公園と地域の集会所(ミニ図書館を兼ねている)、バス停と簡易郵便局(雑貨屋さんを兼ねている)にも100m弱。小学校から500mという土地を手に入れることができた。
この住宅地で、これだけの利便性があるのはありがたい。いざとなれば車がなくても生活はやっていけそうだ。
次はいよいよ家を建てなくてはならない。ここからが大変だった。
②に続く。
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