![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/143433315/rectangle_large_type_2_86b6ee9ba699245772915a066f88349d.jpg?width=1200)
Photo by
moriniko
人間そっくり
アイデンティティに触れたSF作品に出会うたびに 〝個〟 たらしめるものとは何なのかと考える。
血か、脳か、心臓か。
記憶か、こころか。
例えば脳以外を機械化してしまったら、それはわたしといえるのか。
機械ではなく、サイボーグだったらどうだろう。
記憶をそのままに、別の脳になったとしたら。
どこまでがわたしであって、どこからがわたしではなくなるのか。
そして 〝個〟 について考えると、同時に浮かぶことがもうひとつある。
〝個〟 に対する 〝ラベリング〟 がわからなくなった時、
何をもってわたしはわたしだと言えば良いのだろう、と。
安部公房 作 「人間そっくり」
主人公は、自称 火星人に問われる。
あなたが地球人だとどうやって証明するのか? と。
自称 火星人の二転三転する言動に主人公は少しずつ追い詰められ、やがて自分自身を見失っていく。
1967年に刊行されたこの作品を、学生の時に初めて読んでから20年ほどになる。
主人公の導き出した答え以上のものが わたしも未だにみつからない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?