ロロ

息抜きです

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午後

午後。ステンレスマグに入れたパインジュースを飲みながら、ノートパソコンに向かって文章を書いた。少し前から私の脳の端の方に居着いているくだらない小説の案を文字に起こしていった。下手なタイピングが脳の速度に追いつかず、中途半端なところでノートパソコンを閉じた。この作業の目的は小説を書くことじゃない。不慣れなタイピングを習得することだ。学生の時分から慣れ親しんでいるスマートフォンならば目を閉じてでも文字を打てるが、パソコンのタイピングとなるとそうはいかない。だがパソコンの基本的な操

    • ベッドタイムティ

      換気扇下にスツールを置いて、そこへ足を組んで座った。ぐるぐる回るファンを眺めながら、莨に火をつける。コンロの傍には寝る前に飲むハーブティを置いてある。食器は白でまとめるのが私の好みなのだが、茶具だけは色とりどりに、不調和に揃えてしまう。ハーブティが湯気をあげるマグカップは、いつだかにテーマパークで購入した、キャラクターの絵柄がファンシーなお気に入りの逸品だ。それを手に取って、一口。甘草の甘さとシナモンの香り、ベースになっているのはカモマイルとスペアミントだろうか。ティーパック

      •  夏が揺れている。昨日の夕刻、ふとそんな事を思った。九月に入り朝晩が幾許か涼しくなったからだろうか。ついこの間まで其処彼処に我が物顔で蔓延っていた夏が、自身の最期を悟ったかのようにふらりふらりと揺れている。昨今、日本の夏は随分と長いように思われるけれど、それでも、この小さな島国から去る日が来る事を、彼は知っているようだ。昼間はかんかん照りの合間に豪雨を呼び、まだまだ此処から動かないぞという風だけれど、夜の帳が降りる頃にはすっかり、その勢いを失ってしまう。次の季節にその座を譲る

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      • 手記
        2本
      • ss小説
        1本