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性的同意とメディアの性情報③「露出は、ヤル気でしょ」

この女性と、H出来るかどうか。いざ誘う段階になると、相手の「OKサイン」を見極めようと、男子は様々に深読みをするようだ。

マサユキは、合コンで知り合った女の子とデートするとき、まず相手の服装をチェックする。

「露出度が高い服を着ている場合は、『あ、こいつヤル気かな』という目で見ちゃいますね。こっちが欲情してその気になります。雑誌にもそう書いてあったし」

「露出=ヤレる」というメディアの情報を受け、ミニスカートや胸の開いた服に男子の期待は高まるらしい。この点について持論を熱く語るのがヒロト。

「だって露出する必要がないでしょう。女性は、好意を持っている男性に肌を見られれば悪い気はしないのに、オヤジとかに見られると『何見てんのよ』と怒るじゃないですか。それってすごく矛盾しているように思えて。服を着て街を歩く以上、そこには公共性がある。だから露出が高い服を着て、その気があると思われるのは、申し訳ないが当然かなと。普通の恰好の女性よりはHが好きなのかなと思っちゃいますね」

もう1つ、マサユキがOKサインを判断する目安は、ボディタッチだ。

「ベタベタしてくる場合については、『合コンで触ってくる女はイケる』という情報をメディアで見聞きした覚えがありますね。自分の経験でも、女の子が触ってくると、常識としてそうだろうと思っちゃう」

確かに、某男性誌の「口説く手間が面倒なやつに朗報! サセ子の特徴はコレ」と題する記事では、「ボディタッチが多い女は貞操観念がユルイ」と紹介されている。

マサユキの初体験は大学2年生のとき。相手は、合コンで知り合った子だった。

「最初のデートで会った瞬間に、彼女の方から手をつないできたんですよ。酒も飲んでないのに。そのあと酒飲んだんで、確実に大丈夫でしょと思って。家に誘ったら、そのまま泊まりましたね。『手をつないできたらイケる』っていう情報は、『メンズノ〇ノ』に載ってたかな」

Hの誘いを断られて、傷つきたくない。そんな思いもあってか、男性向けの雑誌にとって「女性のOKサインをいかに見抜くか」は、長年の重要課題であった。

『プレイボーイ』(1973年11月20日号)に、「言葉、行動、目の輝きで分かる突撃の合図!」という特集が見られる。それによると、「話題をコロリコロリと変える」「トイレが近くなる」という女性の言動は、興奮しているサインらしい。

この2つのサインへの信奉はなぜか根強く、40年近く後の『SPA!』(2009年1月27日号)の「女の発情サイン解読法!!」でも、「口数が増える」「トイレに行く回数が増える」ことが見分け方として挙げられている。話題が豊富な女性や、ビールを飲みすぎた女性はどうすればいいのでしょう。

ちなみに『SPA!』は、「目をそらす」「髪の毛をいじる」「上目遣いになる」などの行為も、女性の発情サインと定めている。さらに「『猫なで声になる』だったら激アツ! 一気呵成に攻めまくろう」と男性読者をけしかける。女性は、うっかり声も出せません。

▼▼メディアの性情報を鵜呑みにしない力を育てる!「性情報リテラシー」教育とは?


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渡辺真由子 公式note【ネット時代の性教育と人権~メディアの性情報が与える影響と対策~】
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