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食のパリコレ「World’s 50 Best Restaurant 」を勝手に分析

ついさっきまで、
スマホのライブ視聴で見ていた
超絶エキサイティングな世界に夢中になっていたため
まだなんとなくぼんやりしています。

6月25日深夜、
シンガポールのマリーナ・ベイサンズで開催された

「ワールドフィフティ・ベストレストラン」の受賞発表セレモニー。

ミシュランと双璧をなす世界的な食のコンペティションで、通称「フィフティ」。

最も世界に影響を与え、
人々を感動させ、
時代に何かを発信したシェフ50人

が選ばれ、
50位から順番に発表されていく阿鼻叫喚図は、
毎年ドキドキしながら見守るのが常となりました。

今年の結果はオフィシャルwebサイトでも発表されているので、
ぜひご覧ください。私が言うのもなんですが。

さて、今年の結果がどうだとか、そんなことはここでは考察しません。
料理批評家が今後、プロフェッショナルな意見を様々なメディアで書かれると思うので、
それを読むのが今から楽しみです。

そんなことより私が言いたいのは、
きっとこの後様々な場所で繰り広げられる

結局フィフティって、ロビー活動がモノを言うんだよねー
的な話はいい加減卒業しないと
この先、日本がてっぺんを獲る日はこないんじゃないか
……という件です。

「フィフティ」についてもう少し説明すると、
ミシュランが、公式の審査員たちによる綿密な覆面調査によって選ばれているのに対し、
フィフティは「ボーター(voter)」と呼ばれる人々の投票制である点が特徴です。
ミシュランの審査員はどうも、レストラン巡りや審査を本業としているらしいのですが、
フィフティのボーターは、ジャーナリスト・食の業界人・世界を飛び回るビジネスマンといった様々な層で構成されていて、
皆一様に数票を持っており、それを自分の一存で投票する仕組み。
ただ、「過去1年半以内に実際に訪れた店」しか投票しちゃダメで、
「自国のレストランへの投票は○軒まで」という規定まであります。

このようなシステムで運営されているフィフティにおいて、
日本独自の「フェアプレイ」を貫いているとどうなるか?
選考者は来訪した店にだけ投票できるわけだから、
シェフにとっては
「いかに多くのボーターに来てもらうか」が至上命題です。
ミシュランだって、実際はそれはそれで大変な苦労があるのでしょうが、
美味しい料理を出すいい店を営んでいたら審査員が来てくれる。
フィフティの場合は、待ってても来てくれない&来てもらわないと土俵に上がれないわけだから
受賞を真剣に狙うのであれば、
どう考えたってそのためのアプローチが必要です。

これをなぜか「ロビー活動」と呼ぶ人がたくさんいて、
「レストランなんだから美味しさで勝負しようよ」とか
「そこまでして50軒に入りたいか」とか
言うんですね。

私はこれを由々しき問題だと思う。

アカデミー賞のノミネート作品のPRにどれだけの予算と戦略がなされているか、
パリコレの前にメゾンが繰り広げる戦争のようなすったもんだがどれほどのものか、
その世界にいなくても、想像がつきます。

なのになぜか、食に対してはピュアを求めるニッポン人。
武士道とか日本人の美徳とか
そういうものさしで、世界を含む食の業界をまとめようとする人がいまだに多いのですが、

MOTTAINAI!!

グイグイと人を押しのけてでも自分をPRしてくる世界のシェフたちに負けないためには、
オリンピック招聘時並みの手練手管を繰り出していかないと。
心からそう思います。

冒頭の女性は、
フィフティの部門の1つで
今年の「female chef prize」を獲った

Daniela Soto-Innes(ダニエラ・ソト・インズ)。

メキシコシティ出身の28歳で、ニューヨークの大人気レストラン「cosme」のシェフです。
昨夜は、メキシコ訛りの英語で嬉しさを爆発させるようなスピーチを壇上で行う様子が印象的でした。
レストランのプレゼンスを上げるものは
料理だけではないよね、きっと。
……と、若い彼女が天真爛漫に世に問いかけるそんな姿勢が
はからずしも、昨今の食のトレンドになっているような気がしています。

#レストラン #worrlds50bestrestaurant #料理

フードトレンドのエディター・ディレクター。 「美味しいもの」の裏や周りにくっついているストーリーや“事情”を読み解き、お伝えしたいと思っています。