見出し画像

大森さんちの家出、すてきな感想をいただきました。

仮名子さんから、「大森さんちの家出」にすてきな感想をいただきました。

初心者ながら小説を書いてみて思う。
余白というものは、とても勇気のいるものだと。
これで伝わるかなぁどうかなぁと不安になり、「もうそれ以上読解しようがない」と言う所まで言葉を重ねてしまう。
清さんの文章はその真逆を行く。
決定的な言葉は使わずに、それでも「こういうことだな」と、言葉と空気感で伝える文章。
最低限でありながら、その「最低限」の語彙の選び方にひとつもシステマティックな所がない。
全く真似しようのない言葉選びで、「空白」ではなく「余白」を作るような。

仮名子さんnote

これは、うれしい。うれしすぎる。
いつも、「書かないこと」のさじ加減が難しくて、結局、ぜんぜん伝わらなかったりして、このまま自分の「言わぬがはな」スタイルを突き通すべきか、もっとわかりやすく書くべきか、悩んでいるから。
とても、うれしい。

その家にしかない匂いと、ふわりとしたおかしみの中に、時折見え隠れする心の滓。
その塩梅が、楽しいことばかりじゃないこの日々の様で、すっと心に染み込む。
ふつうの人の、ふつうの暮らしと同じ浸透圧で物語が紡がれている。

仮名子さんnote

うれしい。うれしすぎる。
ふつうの人の、ふつうの暮らしの、悪いところもいいところもある人たちの、夫婦関係を書きたかったから。仮名子さんが、私と同じく、家族運営をしながら創作している人、というのもまた嬉しい。
奥さんを小説家志望にしたのは、自分の新婚時代のもやもやを託してのことだったけれど、それより過去の恋愛からの離脱にスポットがあたるかなと思っていたけど、ちゃんとそこを感じ取ってもらえたのがうれしい。

私はふだん、ライターとして、書評の仕事もしています。でも、書評してもらったのは初めて。
ああ、こんなにこんなに、嬉しいものなんだ。
こんなふうに、「私の世界を肯定してくれる人がいる」って思うものなんだ、って感激して、あらためて自分が書評を書くときもむちゃくちゃ愛を込めようと思いました。

なお、文中にある「レゴみたいな小説」が気になって、仮名子さんの「針を置いたらあの海へ」を読みにいったら、すごく賑やかな色彩のぎっちぎちが楽しい小説で、この巧さで2024年1月から書き始めたのか――恐るべし、仮名子と慄いたのでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?