「元カレが坂口健太郎に似ていてね、」裏話つき試し読み
私のデビューエッセイ「夢みるかかとにご飯つぶ」の中から、試し読みのリンクと、そのエッセイにまつわるちょっとした裏話をご紹介します。
元カレが坂口健太郎に似ていてね、
(試し読みリンクです↑)
やまもとりえさんが続編を熱望してくださった、恋バナエッセイです。
彼にまつわる他のエピソードは二冊目のエッセイ集に残しておくとして(いっぱい語れることあります、乞うご期待)、同じ失恋シーンを刺繍作家・清綿子(きよしわたこ)として活動していたときに、詩にしているのでご紹介します。
別れて一週間後に胃腸炎になって
とにかくあの子は最後にもう一度、わたしの家にやってきた
どうしてこんなひどいことするの
どうしてほかの人に出会ってしまったの
言ってもしかたないことでも言い尽くさなければと思った
あの子はいつもみたいに
おばあちゃんに教わったとおりに
私のおなかに手をあてた
よくなるよ。
絶対によくなる
そう言って泣いた。
膝枕から見上げたら、うつむいたあの子のめがねに
ぽたぽたと涙が落ちていくのが見えた。
なに言ってんだばかやろう、わたしを置いていくくせに
そう思おうとしたけど
わたしはそのとき
もうわかっていた
きっと、わたし、ほんとうによくなる
あの子が言ったとおりになる
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