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小説家志望、大阪に帰る

「小説家志望です」って何歳までいける言葉なんだろう。いや、何歳でもわりとぎょっとされる言葉だよな。いわんをや、41歳をや。

このたび小説に嫌気がさした私は実家に帰ることにした。

そんなに振り向いてくれないなら、いい!最初からお前のことなんか別に興味ないし!お前が先に私のこと振ったんだからな、いいな!後悔してももう遅いんだからな!!!

というわけで(どういうわけだ)
家族を引き連れ、パソコンも持たずに3泊4日大阪へ帰ることにしたのである(ただの帰省)

そして夜は、久しぶりの地元の友たちと飲み歩いたのだが…

当然、「今、キヨシなにしてんの?」と聞かれるのである。
あるいは、「仕事最近どない?」とか。

これが朝ドラなら「ぼちぼちでんなぁ」と誤魔化せるのだが、リアル大阪ではそうはいかない。そうくると、「あー、今、小説家目指してて、去年会社辞めてんよなー(苦笑)」
と自嘲トーンで答えてしまう。

だって、言いながらめちゃめちゃ痛い40代やんって我ながら思うもの。

もし他の子が同じセリフを言ってきたら、「えっ……」と固まってしまうと思う。

40にもなって、子どももおるのに、お金は大丈夫なん?とか気になる。しかも夢が小説家って。おいおいおい、もうちょっと現実みぃやって言いたくなる。実現できそうな落とし所あったやろ、ってなる。

ところが、である。

大阪の友達の反応はこうだ。

「え、すごいやん! 本いつ出るん? 予約するわ! サインちょうだい!」

すんなり、小説家志望の41歳は受け入れられるのである。

ある子なんて「キヨシの夢叶ったやん!」と言った(まだ叶ってない)

夢見る者をひとはそうそう笑わないものらしい。むしろ一緒にワクワクしてくれるらしい。

プロフィール写真を初出しするときは、メガネをかけるかコンタクトレンズでいくか、友と激論を交わしながら、

夢見ることを恥じているのは自分だけだったのかもしれないな、と思った。
(みんな、他人の人生だから無責任に応援できる説あるけど)


我よ、健やかにすくすくと無謀であれ。


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