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ことばと新人賞・池谷和浩さんに聞いた、二次選考通過後の正しい過ごし方

連載「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」第九回は、ことばと新人賞を「フルトラッキング・プリンセサイザ」で受賞した池谷和浩さんにお話を聞きました。

記事にも書いた通り、池谷さんは連載第一回から私のXをフォローしてくださった方。「池谷和浩」というフルネームのアカウント名は印象的で信頼感があり、いつも「いいね」をしてくださるので、心強く思っていました。

じつは、第一回・市川沙央さんのとき、市川さんが千葉雅也さんの小説に影響を受けたくだりを池谷さんが引用リツイートしてくれたそうです。それを見た千葉さんもツイートして下さり、それでまた記事が読まれることになり……。まだ始動したばかりの連載にとって、千葉さんのツイートはほんとにありがたかったです。まさかそれが池谷さんのおかげだったとは!

池谷さんもまた公募勢であることは知っていましたが、そのお名前を私が一次も通らなかった賞の二次選考で見つけた時には、あ、とうとうフォロワーさんから受賞者がでるかも…と嬉しくなりました。(悔しくなったほうがよかったのかもしれませんが…)
その後、見事「ことばと新人賞」で受賞され、「これで池谷さんにインタビューできる!」とすぐに編集長に企画を出しました。

「フルトラッキング・プリンセサイザ」の続編で、小説を視点(画角)から考えるのに参考にしたという資料たち

同志と思っていたのは私だけではなかったようで、池谷さんは取材中何度も「清さんはどう思います?」「清さんに聞きたいんですけど」と対話してくれました。その中で、今、めちゃくちゃヒントになっているところがあります。それは、二次選考通過後の過ごし方。

応募歴30年の池谷さんは二次選考通過まではいけることが結構あり、その先の最終選考になかなか進めなかったそうです。

最終選考を目標にしていると、落選は段階的に訪れるんです。最終選考に残ったら例年はいつ連絡があるのかネットで調べてしまって、「今日も連絡なかったからきっとダメだ」と毎日考えて、夢野寧子さんがお話しされていたように、グラデーションで諦めをつけていく。
いちばんの機会損失はこの時間なんです。
ここでやきもきせず、結果を気にするまでもなく次の作品を書いているっていう自己管理のほうが重要。スポーツでいうと、スリーポイントシュートを正しい姿勢で打って、それがゴールに入る前に次の位置についておくこと。それが一番勝つ確率を上げる方法だと思うんです。

この取材後、私はある賞で初めて二次選考を通過しました。そのあとは毎日ソワソワしていて、仕事すら滞る有りさま。
そんなとき、池谷さんの取材テープを聞き直して、あ!そうか、もう次のことを考えるべきなんだ!と冷静になれました。
とは言いつつ、期待と不安の毎日は続いているのだけれど……とにかく仕事のペースは戻りました(笑)

時々、フォロワーの方から「新人賞をとって、清さんに取材してもらうのが目標です!」と嬉しい言葉をいただきます。連載が始まってとうとう次で10回目。今後は、池谷さんのように「あ、フォロワーさんだったあの人が…!」ということも増えていくのかな。
取材される側にもなりたいですけどね!!(またソワソワしてる…w)

写真はおなじみ武藤奈緒美さん。

連載記事で人気だった白いほうの猫の蔵出し別カット


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