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動作学って何?

はじめまして。理学療法士の万由子です。日頃は都内のスタジオでピラティスというエクササイズを通じて健やかな生活を送るためのお手伝いをしています。ここではピラティスやヨガ、ジャイロトニックなどのボディーワークを教える方、アスレチックトレーナーやフィットネスインストラクターの方々へ役立つ情報をお届けします。

わたしのバックグラウンドですが、ピラティスのセッションの他に、現在は大学院の博士課程に所属しながら身体感覚についての研究をしていたり、講習会の講師をしたり、時には通訳のお仕事をさせていただいています。今年の後半にひょんなところから(長年敬愛する方から!)川尻隆さんが構築している「動作学」のワーキンググループにと声をかけていただいたこともあり、動作学について主にご紹介していこうと思います。

動作学とは、歴史的には東ドイツのマイネルやシュタイナー、そしてソ連のベルンシュタインらが学問として構築してきたものです。動作や運動が起こるのは、単純に運動器(つまり骨や関節、筋肉)が機械的に動くのではなく、ここには感覚、知覚が必要であり、生物的、心理的な要因が含まれます。

現代動作学として、川尻氏は『人の身体を、部分の総和としてではなく一つのシステムとして捉え、外部環境との絶え間ない相互作用の中で、動的な平衡状態を維持し、外部環境に適応していく有機体として研究する学問』と定義しています。現代医療では病院の診療科が細かな専門領域に分かれているように人の身体を部分ごとに診ることが多く、ミクロの視点が主になっています。一方で鍼灸などの東洋医学やオステオパシーのように人の身体を全体としてマクロの視点を持っているものもあります。このマクロの視点を説明するための学問が神経生理学であったり、この動作学であるとしています。

身体の構造や仕組みを学ぶ解剖学は、その名の通り身体を解き分け部分ごとに考察をしてきた学問です。しかし、わたし達の身体は骨の上に肉付けをして出来上がってきたのではなく、一つの受精卵が細胞分裂をし、現在の形となっています。身体に存在するものは全て繋がっていて、何かを切り離して考えることはできません。

わたし達がエクササイズを教えている時に見ている動作は「結果」です。ある環境の中で様々な感覚刺激の情報が脳へ届き、情報処理された結果のアウトプットとして動作が見えています。ということは、動作を変えたいのであれば、入力やプロセスの部分を変えていく必要があるでしょう。そんなことを、これからちょっとずつ紐解いてみたいと思います。

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