見出し画像

きのこに見る自分

きのこに興味を持つ前は全く気づきませんでしたが、きのこファンは実に多い。17,000人を超える人が登録しているFacebookの「きのこ部」ではきのこ好きがきのこについて日々自由に投稿し、インスタにはきのこ写真をあげる世界各地のきのこ好きがわんさかといます。きのこが好きという気持ちをそれぞれが育みながら、きのこ好き同士が時には国境を越えてつながりあって互いに学びインスピレーションを与えている感じが伝わってきます。

そして、どのようにきのこが好きか、というところは、本当に人それぞれ、ということも学びました。

きのこ好きの間で深く尊敬されている方々が主宰されている「きのこびと」というポータルサイトの記事「あなたは何菌?」(いりさじょうじさん執筆)によると、まず、きのこ好きは大きく以下の4つに分類できるそうです。

食べ菌:キノコを採ってきて食べるのが好きなきのこびと
撮り菌:キノコを写真の被写体として好きなきのこびと
知り菌:キノコの種類や生態を調べたりして知識を得ることが好きなきのこびと
キャラ菌:キノコをキャラクターとして好きなきのこびと

詳細はぜひこの面白すぎる「あなたは何菌?」を読んでいただきたいのですが、ざっくりまとめると、タイプそれぞれにきのこへの愛の形や範囲が異なるそうです。食べ菌さんは「食べれるかどうか」という観点で、撮り菌さんは「きれいかどうか(撮るに値するか)」という観点できのこをみるので、きのこへの愛はある意味限定的。

一方、知り菌さんは「きのこのことを全部知りたい」、きのこが自分の創造の源となるキャラ菌さんは「もはや自分がきのこになりたい」という思いを持つようになる。つまり、知り菌さん、キャラ菌さんとなるにつれてどんどんときのこへの愛が全体的・包括的になる、といった感じです。

また、私の周りには、きのこという存在そのものへの興味を持つ人たちもいます。なぜ植物でも動物でもないきのこという存在がこの世にあるのか。地球のめぐりにおいてきのこが果たす役割とは何か、人間との関係は?といったとても奥深い問いを考えている。個別のきのこへの興味というより、きのこという種への興味を持ち、きのこからより大きな存在へと思いを馳せる人たち。思索菌さん、とでもいいましょうか。

きのこは今の自分の鏡?

ピュアな○菌さんもいれば、いろんなタイプが混じっている人もいる。時期によって変わる人も多いそう。

また同じ「撮り菌」さんでも、どうきのこを捉えるかは異なります。色やフォルムが目立つきのこの写真を撮る方もいれば、大自然の一部としてのきのこを撮り続ける方もいる。

にわかファンながらなんとなく感じるのは、自分が今どうきのこに惹かれているのか、というのは、今の自分の心が何に向かうのか、の反映ではないか、ということです。

私の場合、現時点では、ただきのこの姿を愛でていたい、という段階にいます。だんだんと「このきのこはどこにでもあるんだな」「これはむしろ駆除対象のきのこなんだな」とかわかってきてはいますが、でもまだ日々、目にするきのこ全部を、ああ、美しい、かわいい、と感じます。

画像1

(おそらく)オオシロカラサカタケ。そこら中に生えうる毒きのこなので、警報や駆除の仕方の情報を載せる自治体もあり。でも、かわゆい。

画像2

(おそらく)ニオイコベニタケ。鮮やかな色に目を奪われる。とりわけ幼菌は桃みたいできゅんきゅん。でもどこでも生えうる毒きのこ。

なのであえて言えば、観る菌さん、なのかな。きのこ初心者が誰もが通る道かも。写真を撮りたい、何のきのこかについては調べたいという思いは多少あるので、撮り菌と知り菌がほんのり混ざっている。一方、きのこを食べたい、という思いは全く湧いてこないし、きのこの物語を思わず書いてしまったり、きのこの服を着るということにはなっていないので(きのこの夢は見ますが)、食べ菌やキャラ菌ではなさそうです。今のところ。

今、私は、病気になって自分の核となる活動を休止したり、東京を離れて自然の中に移住したり、と、一度これまでの人生をリセットしている時期の中にいます。これまでのものの見方、やり方を一度手放して、そこから見えてくるものに意識を向けていきたい。もう一度生まれたての目でこの美しい世界を見てみたい、という思いを持っています。

そうやって日々を生きていて、たまたまある時目にうつったのがきのこでした。そしてきのこに対しても、きのこをどうこうしたいわけではなく、そのままを見ていたい、という思いがあるのは、今はただじっとしてこの人生にそして世界に何が立ち現れるか見ていたい、という思いとつながっているのかもしれません。

また、自分がどんなきのこ(種類、成長フェーズなど)に反応するのか、というのもなかなか面白いです。もちろん、見事な有名きのこに出会うと、芸能人に会ったかのようなきゃーっという興奮を覚えてうきうきします。

画像7

みんな大好きタマゴタケ(たぶん)

でも、じんわりといつも気になるのは、土から出てきた頃のきのこです。

画像3

画像5

画像5

画像6

(なんのきのこなのか、どれもよくわかりません...)

何かが立ち上がりそう、でも立ち上がりきっていない、というあたりのエネルギーに、今の自分が共鳴しているのかも。

そしてそのうち、きのこを見続けていたら(といっても今季はあと1-2ヶ月ですが涙)、自分が反応するきのこの種類やフェーズが変わったり、自分のきのこ好きのタイプが変わってくることに気づくかもしれない。それは、きっと、自分の変化の反映なんだろうな、と思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?