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あなたは、だれ?

PictureThisという草花の画像診断アプリ(有料)があります。中国杭州が本社のAI会社Glorify(2009年創業)の開発で、草花の写真をアップするとほとんど待つ時間なく、その草花の名前、性質、育てる場合のポイントなどの情報が得られます。「ポケットの中の植物学者」という名前の通り、非常に精度が高く、野生の草花が溢れる軽井沢生活にはなくてはならない相棒になっています。

きのこに興味を持ち始めた頃、といってもたったの1ヶ月前ですが、このアプリをきのこ判定に使ってみました。結果、まるで別の植物が出てきました。

そうか、きのこは植物ではない(そして動物でもない)から、植物用のアプリは使えないんだ。

調べてみたら、同じAI会社が虫や鳥、動物、そしてきのこのアプリPicture Mushroom(有料)も出していたので、きのこバージョンも試してみました。草花アプリだと出てくる第一候補がほぼその花で当たり、なのですが、Picture Mushroomでは、第一候補も「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」と判断に迷う感じでした。

他にもいくつもきのこ識別アプリはあります。でも、AIだとチワワとマフィンを見極めるのが難しいとかいう話があったなあ、と思い出すレベルの候補がボコボコ出てきます。

きのこはAI画像診断に向かない?

そのうちに、AI画像診断できのこ判定をするのは難しいから仕方がないのかも、ということもわかってきました。

まず、種類は違っても見た目はチワワとマフィンよりはるかに似ているきのこがたくさんあります。

かつ、例え同じ種類のきのこでも、気候や生える場所によって、色やぬめり感、大きさがかなり異なり、もはや別のきのこか、みたいな違いが生まれます。

その上、きのこは幼菌からだんだんと成長して最後は老菌となり、その過程で姿形が相当に変わります。それもあっという間に。目にしたその瞬間のきのこがどの成長フェーズなのかで、画像的には全然違うきのこになります。

さらに、きのこを本気で判定するには、匂い、傷をつけた時に色が変わったり乳液のようなものが出るか、胞子紋(傘の裏にあるきのこの胞子を紙に落下させることでできる紋様)、地中の様子観察、さらには顕微鏡なども必要となってくるそうで、地上の画像という限られた視覚情報だけではあまりにも足りないのです。

あと、以前書いたように、1万種以上あると言われているきのこのうち、正式な名前がついているのはたったの2,000-3,000。そもそも見つけたきのこに名前がついていない、ということもあり得ます。

結局のところ、五感を持つ人間が経験を積んで目を慣らし「きのこの感」を磨いていくのが一番いいのではないか、と。

あと、図鑑を開いて、これかなー、あれかなー、というのが実に楽しかったりします。このきのこが何かを知りたいけど、すごい精度の高いアプリがあってすぐにわかっちゃうとしたら、なんかつまらないのかも。結果よりもその過程自体にわくわくする、というのがきのこ判定なのかもしれません。

きのこ初心者の推測

ということで、日々、きのこ散歩をして帰ってきてはいくつかの図鑑を見て、おそらくこれかなあ、とか、うーん今日のはわからないなあ、ということをやっています。

わからないままのたくさんのきのこの一つが、このこ↓。Men in Blackの地球に落下したエイリアンのようです。

画像1

これは二つのきのこがくっついた形でとりわけ異彩をはなっていましたが、同じ種類の通常の形のものも、ぬめり感のせいか、妙に三次元で、まわりから浮き上がっているように見えました。たぶん見てない時に歩いている。

画像2

ざっと2冊の大きな図鑑を見てみましたが、こんな色と形とぬめり感のあるきのこはみつかりません。名前がついていない新種のきのこの可能性もなくはないですが、きのこ探索3日目ぐらいのきのこだけに、さすがに新種ということはないかと。

どらやきや甘食のような質感を持つ「イグチ」というきのこグループがあります。写真からだとわかりづらいですが、肉眼で見た質感的に、おそらくこれはイグチ科。

図鑑のイグチ科を丁寧に再度見直してみました。相変わらず、写真で見てこれ!というのはありません。でも「ヌメリイグチ」という名前にひっかかりました。たぶんイグチで、かつヌメヌメしているから。

ヌメリイグチといっても、図鑑に載っているだけでもシロヌメリイグチ、ニセキヌメリイグチ、ヌメリツバイグチという似たようなのがいます。私が見たのは、成長すると褐色になりヌメリも強いらしい「シロヌメリイグチ」かなあ...うーん。

画像3

小学館の図鑑NEO 改訂版きのこ p.82

またこのこと出会ったら再度確認しようと思っていましたが、その後はもうそのあたりでは出てこなくなってしまいました。きのこも、一期一会。

ちなみにPicture Mushroomアプリでは、このきのこは「ヤマドリタケ」と出ました。イタリア料理で有名なポルチーニのことです。

え、あのエイリアンがポルチーニなのか?!どっからどう見ても、食べちゃだめ、絶対、な感じしかしなかったけれど...でも、初心者推測のシロヌメリイグチだったとしても「食用」とあります。苦味があって、お吸い物などに使われます、だって...

うーん、きのこ、奥深い。難易度高い。入り口すらまだ見えないなあ。



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