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#36 週刊囲碁日記 地方対局こそ観る碁ファン向け企画を/「威張らない生き方」に思う棋士と裏方との関係性/囲碁界の利益相反についての考察

こんにちは。瀧真有子です。

国際棋戦での日本の棋士の活躍が注目されていますね。黄竜土杯での上野愛咲美さんの準優勝、井山裕太さんの衢州爛柯杯でのベスト4、一力遼さんの応氏杯ベスト4入り等々。

いずれも優勝ではないからか、囲碁ファンが減っているせいか、注目されるようなメディアでは取り上げられませんが、新聞社の囲碁担当の方々は、コツコツとSNSなどで速報を書いてくださっています。

◇上野愛咲美・女流立葵杯、女性棋士の国際棋戦で準優勝…中国・江蘇省https://www.yomiuri.co.jp/igoshougi/20240627-OYT1T50137/

◇毎日新聞・囲碁のX
https://twitter.com/mainichi_igo/status/1808794420722160103

大変ありがたいことではありますが、勝ち上がっている途中となると、SNSで速報として載せるくらいになり、やはり優勝しないと、一般の人の目には届かないのかなと、改めて結果を出すことの重要性を感じますね。

トップ棋士たちが、過酷なスケジュールをこなし、結果を出すために努力し続けているのは明らかですが、それでも中国や韓国の棋士より対局数は少ないので、研究会ではなく、例え対局料が少なくても、もっと対局の機会が多く得られれば良いのになと思います。

そして囲碁界の稼ぎの大半を担っている、トップ棋士の皆さんは、もっと報酬をもらうべきですよね。本来活躍している人たちに回るべき報酬が、棋士全体に分配されていることを思うと、囲碁界の再編を望むばかりです。

この点については、囲碁界の制度改革が必要だと思われ、以前にも何度か書いていますので、良かったらどうぞ。

地方対局こそ観る碁ファン向け企画を

少し前ですが、女流立葵杯の三番勝負が行われ、上野愛咲美さんが防衛されました。個人的には久しぶりにタイトル戦に登場した、向井千瑛さんにも頑張ってほしかったのですが、上野さんの勢いが勝った感じでしたね。

女流立葵杯の興味深いところは、三番勝負が連続した日程で行われることです。運営上の都合ではあると思いますが、ファンの方が旅行を兼ねて参加することもできる良い機会ですよね。

わざわざ会津まで行って、ずっと旅館で大盤解説会を見たい、という人はあまりいないと思うので(よほどの囲碁ファンだけですね)、囲碁が分からない人でも楽しめるイベントをしたり、観る碁ファン向けの解説をするなど、参加する層を増やすアイディアが必要だと思います。

タイトル戦の誘致は、受け入れる地域からすれば、地方活性化を期待している要素もあるでしょう。アニメやマンガなどの聖地になり、経済効果を生んでいる例は多数あり、よく比較される将棋の世界でも、藤井聡太さんの影響でかなりの経済効果を生んでいるわけですから、工夫すればできることはたくさんあるはずです。

◇将棋のタイトル戦ではマグロの解体ショーも


「威張らない生き方」に思う棋士と裏方との関係性

「この人は何かにすごく秀でているわけではないけれど、業界で生き残っている」という人っていますよね。

テレビに出ている方で、そんな風に言われている方って結構いますが、実際はコミュニケーション能力が高かったり、周りに気を遣える人だったり、どんな立場の人にも対等に接することができる人だったり、「これ」という能力ではないけれど、人から愛され続ける理由があるわけです。

◇いばらない生き方―テレビタレントの仕事術
https://www.shinchosha.co.jp/book/355641/

この本の宣伝で、中山秀征さんがテレビにたくさん出ているのを見ましたが、テレビで見る限りは、スタッフを含め、すごく周りに気を遣っている方なのだなと感じました。

もちろん本人のことを存じ上げないので、実情はわかりませんが、そういえば、囲碁界でも同じような経験があるなと思ったのです。

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